名手ビレリ・ラグレーン、ジャコパスが“乗り移った”快演
フランスのビッグバンド、Multiquarium Big Band がベースに名手ビレリ・ラグレーン(Biréli Lagrène)をフィーチュアし、ジャコ・パストリアス(Jaco Pastorius)の楽曲をカヴァーした注目作『Remembering Jaco』。
ビレリ・ラグレーンはロマの一族に生まれ、マヌーシュ・スウィングで十代前半からその並外れの才能を発揮し、その後ジャズやフュージョンの分野にも進出し大成功を収めたギタリストとして知られているが、ギターだけでなくヴァイオリンやベースの演奏も超人的。今作ではエレクトリック・ベースを手に、かつてヨーロッパを共にツアーした盟友ジャコが乗り移ったかのような圧巻のプレイを聴かせる。
アルバムはウェザーリポート(Weather Report)やジャコが率いたビッグバンド、ワード・オヴ・マウス(Word of Mouth)でドラムを担当したピーター・アースキンが語るジャコとの思い出を挟みつつ、ジャコの往年の名曲がビッグバンド編成で新鮮に蘇る。
(2)「Used to Be a Cha Cha」、(5)「Liberty City」、(6)「Continuum」、(9)「Teen Town」、(10)「Three Views of a Secret」など涎が出るような名曲のオンパレードなのが嬉しいが、前述したようにビレリ・ラグレーンのベースが本当に音色もフレージングもジャコの鏡のようで、もし彼が今も生きていたらどんな音楽を聴かせてくれていただろう…なんて想いが頭を
マルチクォーリウム・ビッグ・バンド(Multiquarium Big Band)はフランスを代表するジャズ・ビッグバンドで、ピアニストのベノワ・ソーリッセ(Benoît Sourisse)、ドラマーのアンドレ・シャルリエ(André Charlier)を中心とする18人編成。メンバーにはそれぞれソロ活動をし、アルバムをリリースしているミュージシャンも多く、(2)「Used to Be a Cha Cha」でのステファン・ギヨーム(Stéphane Guillaume)のフルートソロなど、各人のソロも素晴らしく聴き応え抜群だ。
Bireli Lagrène – bass
Multiquarium Big Band :
Benoît Sourisse – piano, Hammond organ
André Charlier – drums
Claude Egéa – trumpet
Pierre Drevet – trumpet
Erick Poirier – trumpet
Yves Le Carboulec – trumpet
Stéphane Guillaume – soprano & tenor saxophone, flute, clarinet
Stéphane Chausse – alto saxophone
Lucas St-Cricq – alto & tenor saxophone
Fred Couderc – baritone saxophone, bass clarinette
Fred Borey – tenor saxophone
Denis Leloup – trombone
Philippe Georges – trombone
Damien Verherve – trombone
Lionel Segui – tuba
Nicolas Charlier – percussion
Pierre perchaud – guitar