北欧の名ベーシスト、コロナ禍で生まれたカルテットでの新譜『House on a Hill』

Terje Gewelt - House on a Hill

テリエ・ゲウェルト、コロナ禍で生まれた新譜『House on a Hill』

ノルウェーのベーシスト/作曲家、テリエ・ゲウェルト(Terje Gewelt)が、絶賛された2017年作『Wow And Flutter』と同じメンバーによるカルテットで新譜『House on a Hill』をリリースした。

今作も(1)「Buzios」を聴いた瞬間、名盤と確信できる素晴らしい内容だ。

テリエ・エヴェンセン(Terje Evensen)による一部は打ち込みと思われる無機質と有機質の狭間を漂うような魅惑的なドラムに続き、エアレン・スレッテフォル(Erlend Slettevoll)のシンセサイザーと、ビョルン・クラークエッグ(Bjørn Klakegg)によるギターの空間的なサウンドを背景に、フレットレスベースと思われるテリエ・ゲウェルトのソロ。中間地点から雪崩れ込むエアレンの生ピアノも素晴らしく、この作品への期待値をMAXまで引き上げてくれる理想的な幕開けだ。曲名のブジオスとは、ビーチリゾートとして知られるブラジルの街。ここでテリエ・ゲウェルトはツアーを行い、その後他の多くのミュージシャンと同じように激動の2020年を迎えたのだ。

(1)「Buzios」

アルバム表題曲の(2)「House on a Hill」はそんな2020年に生まれた1曲。
パンデミックによって、この北欧の名ベーシストも丘の上の自宅に閉じ籠ることを余儀なくされた。

物静かで瞑想的に奏でられる(3)「What Now」、古代ローマの詩人ホラティウスの詩の一節に登場する“一日の花を摘め”を意味するタイトルの(4)「Carpe Diem」ではまだ見ぬ未来への不安も見え隠れする。

進化し続けるベーシスト、テリエ・ゲウェルト

テリエ・ゲウェルト(Terje Gewelt)は1960年生まれのベテランだが、今作で見せる彼の音楽には過去の栄光に満足せず、常に進化しようとする独創性が感じられる。本作もベーシストのリーダー作だが、コンセプトの中心にあるのは決してテクニカルに目立とうとするベースではなく、音楽そのものやバンドアンサンブルになっている。
こういうアルバムは、やはり良い。

Terje Gewelt – acoustic & electric bass
Terje Evensen – drums, electronics
Bjørn Klakegg – guitar
Erlend Slettevoll – piano, keyboards

Terje Gewelt - House on a Hill
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