才媛スタヴ・アハイ デビューEP『Plastic Cocoon』
優れた新世代ジャズ・アーティストが次々登場するイスラエルから、またまた楽しみな人材が現れた。
テルアビブを拠点に活動する女性ピアニスト、スタヴ・アハイ(Stav Achai, ヘブライ語:סתיו אחאי)。彼女のソロデビュー作となるEP『Plastic Cocoon』はベースにギラッド・アブロ(Gilad Abro)、ドラムスにソル・モンク(Sol Monk)ことアヴィヴ・コーエン(Aviv Cohen)という手練れを迎え、現代感覚に溢れる独特のジャズが展開される。
バルトーク、バッハからスティーヴ・ライヒ、スティーリー・ダン、ステファノ・ボラーニ、そしてロバート・グラスパーに至るまで多彩な音楽に影響を受けたという音楽には確かな新しさがあり、聴いていてわくわくする。
(1)「Nils」は洗練された和音と随所に大胆な中東的なフレーズを織り交ぜた三拍子の楽曲で、ギラッド・アブロの力強いベースに支えられドラマティックに進行。薄くコーラス系のエフェクトが加えられたピアノの音も面白い。
(2)「Dugia」もまた、独特のリズムや旋律の感覚を持った不思議で魅力的な曲だ。三位一体のバンドのアンサンブルも素晴らしい。
(3)「Pampam」と(4)「Marco」にはイスラエルの気鋭レーベル、Raw Tapes諸作への参加で知られるギタリスト、ロイ・アヴィヴィ(Roi Avivi)も参加している。
本作のリーダーであるピアニスト/作曲家のスタヴ・アハイ(Stav Achai)は2012年に結成された人気カントリー・ロック/フォークバンド、ジェーン・ボルドー(Jane Bordeaux)のキーボーディストとしても知られている。同グループを脱退後、2020年に恋人のベーシスト、ダニエル・ハーレフ(Daniel Harlev)らと共にテルアビブの多様な文化を受容するオルタナティヴ・アート・コミュニティ、“SPEAK THRU”を共同設立。本作はこのレーベルからの第一弾として登場した。
今後の活躍にも大いに期待したい、イスラエルジャズの中でも要注目のピアニストだ。
Stav Achai – piano, composition
Gilad Abro – double bass (1, 2, 3)
Aviv Cohen – drums (1, 2, 3)
Roi Avivi – guitar (3, 4)
Daniel Harlev – double bass (4)
Shahar Haziza – drums (4)
Matan Egozi – lap steel (4, 5)