トルコのベテラン・ピアニスト、バキ・デュヤラー新譜
ジャケットに描かれているのはアララト山とノアの方舟(Noah’s Ark)。
トルコのピアニスト/作曲家のバキ・デュヤラー(Baki Duyarlar)の2020年新譜『Jazz Ark』は、ジャズとトルコの伝統音楽(マカーム)、そしてスペインやブラジルの音楽まで融合した文字通りの“ジャズの方舟”だ。
トリオのメンバーはピアノのバキ・デュヤラーほか、5弦コントラバスのクリスティアン・リンド(Kristian Lind)、そしてパーカッションのメフメト・アカタイ(Mehmet Akatay)。さらに数曲でスペインのジャズハーモニカ奏者アントニオ・セラーノ(Antonio Serrano)がゲスト参加している。
全曲バキ・デュヤラーの作曲による本作はトルコ音楽という印象は薄く、どちらかというと上質なヨーロピアン・ジャズのように洗練されている。ドラムスの代わりにパーカッション奏者というのが特徴的だが、ローカル的な泥臭さはほとんどなく、透明感のある上品な音がとても印象的。むしろゲスト参加のスペイン人ハーモニカ奏者のアドリブの方が意識的にオリエンタル感を表現しようとしているようにも聴こえ、面白い。
バキ・デュヤラー(Baki Duyarlar)は1967年、トルコ・イスタンブール生まれ。幼少期よりピアノを始め、1988年にオランダに渡りロッテルダム州立音楽院でジャズを学び、24歳の頃に准教授の肩書きを得てアムステルダム、ロッテルダムなどの音楽学校で教鞭をとっている。
1997年にトルコに戻りジャズ・フェスティヴァルに出場したり、様々なミュージシャンの演奏や録音に参加。近年は自身のトリオを率い、トルコの伝統音楽に根ざしたジャズを探究している。
Baki Duyarlar – piano
Kristian Lind – contrabass
Mehmet Akatay – percussion
Guest :
Antonio Serrano – harmonica