狂乱怒濤の声と打楽器。南仏文化を現代に伝える6人組 San Salvador

San Salvador - La Grande Foile

6人の声と打楽器。南フランス出身の個性派グループ、San Salvador デビュー

フランスの男女6人組ヴォーカル・グループ、サン・サルヴァドール(San Salvador)のデビュー作『La Grande Folie』は、幾重にも重なるヴォーカルと、メンバーそれぞれが手に持つ打楽器のアンサンブルが斬新なとても個性的な作品だ。

全ての曲はフランス南部の言語、オック語(オクシタン語)で歌われている。
そもそもフランス南部では今もオック語が少数ではありながら話されているという事実も、南フランスと北フランスは歩んできた歴史がまったく違う、元来異なる文化圏であることもここ日本ではほとんど知られていない。
オック語はスペインからの独立で揉めているカタルーニャ州で広く話されている言語カタルーニャ語と同属であり、やはりこのグループの楽曲も北フランスの音楽とは大きく異なり、むしろバルセロナ界隈の音楽の響きとよく似ている。野趣があり、命の力を強く感じさせる。

(1)「Fai Sautar」
伝統を汲んだ表現と、現代的な感覚のバランスが素晴らしい。

オクシタン語文化を現代に伝える“語り部”たち

サン・サルヴァドール(San Salvador)は2組の兄弟姉妹を含む6人がメンバー。彼らは隣近所に住む幼馴染で、子供の頃からずっと一緒に歌ってきたようだ。コレーズ(Corrèze, オック語:Corresa)生まれの彼らは長年にわたってオクシタンのフォーク・ミュージックと現代の音楽的感覚を組み合わせた個性的なサウンドを追求してきた。

彼らの物語を遡ると、ガブリエル(Gabriel)とエヴァ(Eva)の父で音楽家/民族音楽学者のオリヴィエ・デュリフ(Olivier Durif)に始まる。オリヴィエ・デュリフは1970年代より、オクシタンの文化を守るためにフランス中央高地の高齢者たちから、彼らが長く歌い継いできたメロディーを収集してきた。愛や仕事、そして戦争に関する田舎の庶民の生活を歌った素朴だが命のこもった歌たち、それらを整理しアレンジした楽曲群がサン・サルヴァドールの重要なレパートリーになっている。メンバーは6人とも日常生活ではオック語を話さないが、歌によってオクシタンの文化を広く人々に伝えようとしているのだ。

(2)「La Liseta」のライヴ演奏動画。
(8)「Quau te Mena」のMV。
男性と女性の関係という、普遍的なテーマについて歌っている。

Gabriel Durif – vocals, tambourine
Eva Durif – vocals
Thibault Chaumeil – vocals, tom bass
Marion Lherbeil – vocals, tom bass
Laure Nonique Desvergnes – vocals
Sylvestre Nonique Desvergnes – vocals, drums

San Salvador - La Grande Foile
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