ヨーロッパ・ジャズの巨匠二人によるデュオ傑作
ベルギー出身トランペッターのバート・ヨリス(Bert Joris)と、イタリア出身ピアニストのエンリコ・ピエラヌンツィ(Enrico Pieranunzi)による2021年のデュオ作品『Afterglow』。タイトルは“夕焼け”の意味だ。
二人が持ち寄った曲を収録した本作は、ジャケットのハイウェイの写真のように都会的な印象を受ける最高級のジャズで、時にリリカルに、時にフリーに淀みなく展開されるピアノとトランペットの語り合いがこの上なく美しい。バート・ヨリスのトランペットは鋭さよりも温かみを感じる音色で、親密に寄り添いあう演奏の中にも緊張感が漂う。
アルバム表題曲(2)「Afterglow」はピエラヌンツィ往年の名曲・名盤を想起させる叙情的な曲調で聴き惚れてしまうが、続くバート・ヨリス作曲の(3)「Millie」は妙にユーモラスにおどけるような曲調で、そんな“流れ”も含めてとても楽しい作品になっている。
ラストに収録された(11)「The Real You」は同じく2021年リリースのピエラヌンツィ新譜『The Real You』でベーシストのトーマス・フォネスベック(Thomas Fonnesbaek)とのデュオでも演奏されており、聴き比べてみるのも楽しい。
Enrico Pieranunzi – piano
Bert Joris – trumpet