欧州ジャズ巨匠二人が奏でるビル・エヴァンス・トリビュート

Enrico Pieranunzi & Thomas Fonnesbaek - The Real You

ピエラヌンツィ&フォネスベック、ビル・エヴァンスに捧げるデュオ新譜

イタリアのピアニスト、エンリコ・ピエラヌンツィ(Enrico Pieranunzi)とデンマークのベース奏者トーマス・フォネスベック(Thomas Fonnesbaek)のデュオによる2021年新譜『The Real You』は、彼らが敬愛する偉大なジャズピアニスト、ビル・エヴァンス(Bill Evans)へのトリビュート作品だ。

トリビュートといっても、ビル・エヴァンスが作曲した曲は(2)「Only Child」と(10)「Interplay」のみで、あとはほとんど二人のオリジナルとなっている。楽曲や演奏は決して往年のビル・エヴァンスを彷彿とさせるものではなく、(4)「Passing Shadows」や(8)「I Will Look After You」など特に、憂いを帯びた詩情を湛えるピエラヌンツィの個性が最大限に表出した佳曲だ(後者はトーマス・フォネスベック作曲となっているが、おそらくは彼がピエラヌンツィの楽曲を研究して作ったものだろう)。

トーマス・フォネスベック作曲の(8)「I Will Look After You」。
短調での畳み掛けるような転調が連続する曲調は明らかにピエラヌンツィのスタイルを踏襲したもの。

ビル・エヴァンス(Bill Evans, 1929 – 1980)は、ジャズのピアノトリオにおいて、ピアノだけが主体とならずベース、ドラムスも“対等の立場で”演奏する「インタープレイ」でジャズの世界に革命をもたらした巨匠だ。今では当たり前のようにこのスタイルで演奏するバンドがほとんどだが、このピエラヌンツィ – フォネスベックのデュオも欧州随一の豊かな歌心でその期待に応えてくれている。
1949年生まれのピエラヌンツィと、1977年生まれのフォネスベック。28歳の歳の差など、音楽──とりわけジャズのインタープレイで語られる言葉の前では関係ない。私はこの作品でのトーマス・フォネスベックのベースに、在りし日のスコット・ラファロ(Scott LaFaro)を感じた。

ビル・エヴァンスの名盤『Waltz for Debby』のオープニング・タイトル「My Foolish Heart」へのオマージュ(5)「Our Foolish Heart」。
1’23″からのベースラインで「My Foolish Heart」のメロディーを提示する。

録音は2020年7月にデンマーク・コペンハーゲンの名スタジオ、The Village で行われた。

Enrico Pieranunzi – piano
Thomas Fonnesbæk – bass

Enrico Pieranunzi & Thomas Fonnesbaek - The Real You
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