マリアーナ・アイダール&フェジューカ、コロナ禍のプロジェクト『Aqui em Casa』リリース
ブラジルの歌手マリアーナ・アイダール(Mariana Aydar)とギター奏者ジュリオ・フェジューカ(Julio Fejuca)がコロナ禍のなかで自宅録音した『Aqui em Casa, Vol. 1』がEPとしてリリースされた。
アルバムには数曲でサンフォーナ(アコーディオン)奏者のコスミ・ヴィエイラ(Cosme Vieira)とシンガーのホベルタ・サー(Roberta Sá)も加わり、ブラジル北東部音楽を中心にシンプルながら洗練された美しさを持つ歌とギターを楽しめる良作だ。
(1)「Opachorô」はジルベルト・ジルの曲。原曲はロックの影響も色濃いMPBだが、ここでは7弦ヴィオラォン(ガットギター)とサンフォーナ(アコーディオン)のみの伴奏で、素朴なムジカ・カイピーラとして新鮮に甦る。
(2)「Amor Que Vai」はペルナンブコのSSW、アルセウ・ヴァレンサ(Alceu Valença)の曲。
ブラジル北東部の伝統的なダンス音楽であるフォホーの曲(4)「Forró do Xenhenhém」は、軽やかなサンフォーナと煌びやかなカヴァキーニョの伴奏をバックにマリアーナ・アイダールとホベルタ・サーによる郷愁感のあるデュエット。
2019年作『Veia Nordestina』でも取り上げていた(5)「Espumas ao Vento」はゴイアニア出身のSSW、アクシオリー・ネト(Accioly Neto)の楽曲。続く(6)「Nunca Vi Você Tão Triste」、(7)「Táxi Lunar」もギターと声だけの演奏で、フェジューカが弾く深く優しい音色の7弦ヴィオラォンとマリアーナの美しい声が夜の闇に溶け込んでいくように響く。
プロフィール
マリアーナ・アイダール(Mariana Aydar)は1980年サンパウロ生まれ。父マリオ・マンガ(Mário Manga)はルル・サントスやルイス・ゴンザーガといったアーティストをプロデュースしたことでも知られるマルチ奏者/作編曲家。
マリアーナは音楽を学ぶために2004年にフランスのパリに渡り、そこでセウ・ジョルジ(Seu Jorge)に出会い彼のツアーにも同行。2006年に『Kavita 1』でデビュー、2020年にはラテングラミー賞も受賞するなど名実共にブラジルを代表する歌手となっている。
ジュリオ・フェジューカ(Julio Fejuca)はギター、カヴァキーニョなどのマルチ弦楽器奏者/音楽教育者。これまでにエミシーダ(Emicida)、マリア・ベターニア(Maria Bethania)、ドミンギーニョス(Dominguinhos)、マイラ・アンドラーデ(Mayra Andrade)などジャンルや国籍を越えて多数のトップミュージシャンと共演をしてきた、現代ブラジルを代表するミュージシャンのひとり。
Mariana Aydar – vocal
Fejuca – guitar, cavaquinho
Cosme Vieira – accordion (1, 4)
Roberta Sá – vocal (3, 4)