ロシアの若きピアノトリオ、アルセニー・ルイコフ・トリオ
ロシアから豊かな抒情性を湛えた素敵なピアノトリオが現れた。
アルセニー・ルイコフ・トリオ(Arseny Rykov Trio)はロシアの若きピアニスト/作曲家、アルセニー・ルイコフ(Arseny Rykov)をリーダーとするトリオで、2021年にロシア・サンクトペテルブルクのジャズレーベル「Rainy Days」からデビュー作『Forgotten Melody』をリリース。本人はロバート・グラスパーやブラッド・メルドーから多大な影響を受けたと言うが、サウンドは彼らよりさらにECM的で、内省的でリリカルな透明感が美しい。
アルバムは全曲がアルセニー・ルイコフによるオリジナルで、もの悲しい短調を軸に効果的な転調、変拍子などを交え情感豊かな展開が魅力的。ジャズ・コンペティションでの優勝経験もあるアルセニーのピアノはもちろん、ニコライ・オルシャンスキー(Nikolai Olshansky)のベース、ヴィタリー・エポフ(Vitaliy Epov)のドラムスも各人のソロを含めて素晴らしく、緻密なアレンジをこなしながらそれぞれが即興で呼応しあう演奏はまさに三位一体、ピアノトリオの美の極致の様相をみせる。
アルセニー・ルイコフ(Arseny Rykov)はロシア音楽アカデミー出身。23歳の2019年にジャズコンクールで優勝、その演奏に感銘を受けたドラマーで「Rainy Days」のオーナーでもあるサーシャ・マーシン(Sasha Mashin)が熱望し、同レーベルからのデビューに至ったようだ。
Arseny Rykov – piano, compositions
Nikolai Olshansky – bass
Vitaliy Epov – drums