GoodLuck 新譜はまさかのナチュラル&オーガニックな絶品
南アフリカのエレクトロ・ポップスで最も成功しているユニット、グッドラック(GoodLuck)が突如完全アコースティックのジャズ&ボッサなアルバム『Goodluck Up Close』をリリースした。
今作は2016年の『The Nature Within』以来、5年ぶりのアルバムだが、ジュリエット・ハーディング(Juliet Harding)の可憐なヴォーカルやアフリカ音楽のエッセンスはそのままに、バックの演奏はアコースティックギターなどを中心としたオーガニックな生演奏へと変化。エレクトロ・バンドとしてのこれまでの成功を捨て、新たなステージに向かう彼らの新しい姿には驚きが伴う。
この変化に大きな影響を与えたのは、やはり地上を覆う新型コロナウイルスの騒動だったようだ。
ロックダウンが世界を襲ったとき、GoodLuckは4枚目のエレクトロ・ミュージックのアルバムの制作に取り掛かっていた。さらに2020年中にはアジア、ドイツ、イギリス、オランダ、オーストラリアへの5つのツアーも計画されていた。
世界は急激に変化している──彼らはパニックの中でそう悟り、これまでと全く違う表現を試すときが来たと確信した。彼らはケープタウンから素晴らしいセッション・ミュージシャンを厳選し過去のヒット曲の再録を含むいくつかの曲を録音、今の時代に必要とされる音楽を作り上げた。その結果がどれだけ素晴らしいかは、ぜひ本作を聴いて確かめていただきたい…ジャズもボサノヴァもレゲエも貪欲に取り込みながら、確かな南アフリカの風が感じられる見事な作品だ。
2011年のデビュー作『GoodLuck』収録のエレクトロ・スウィングのヒット曲「Hop on Hop off」は(4)「Hop on Hop off Kind of Lover」で渋くてセクシーなジャズナンバーにアレンジ。丁寧に作り込まれた演奏やアレンジからは10年という歳月の不可逆な変化を良い意味で感じさせてくれる。
GoodLuckは2011年に活動を開始した南アフリカの3人組ユニット。エレクトロ・スウィング、ジャズ、ポップス、ソウルに影響されたサウンドでヨーロッパにも進出するなど南アフリカに止まらない人気を誇り、2015年にはナミビアの太陽光エネルギーを利用して制作した2ndアルバム『Creatures of the Night』で南アフリカ・ミュージック・アワードのベストポップアルバム賞を受賞している。
“幸運を招く”日本の招き猫をバンドを象徴するキャラクターに採用しており、今作含めこれまでにリリースした4枚のアルバムはいずれもジャケットに招き猫が描かれている。
GoodLuck :
Ben Peters – producer, beats, electronic percussion
Juliet Harding – vocals, production, songwriting
Tim Welsh – live synths, saxophone, production