新鋭ギタリスト、ダン・ウィルソン 精鋭揃いの新譜

Dan Wilson - Vessels of Wood and Earth

ダン・ウィルソン『Vessels of Wood and Earth』

昨今斬新なスタイルのギタリストが続々登場する中で、久々に古いスタイルのジャズで最高の演奏を聴かせてくれるギタリストを聴いた気がする。

米国のギタリスト/作曲家、ダン・ウィルソン(Dan Wilson)の新譜『Vessels of Wood and Earth』。彼の音楽はウェス・モンゴメリーやジョージ・ベンソン直系のぐいぐいと弾きまくるギターがとにかく気持ちいい。プロフィールを辿るとオハイオ州アクロン、父親はドラムスとベースを演奏し母親は歌手という家庭の出身とのことで、音楽的に恵まれた環境で育ち伝統的なジャズのほかにモータウンやゴスペルにも強く影響されているようだ。
本作では大半を占めるダン・ウィルソンのオリジナルのほかにスティーヴィー・ワンダーの(2)「Bird of Beauty」やコルトレーンとマーヴィン・ゲイのメドレー(6)「After the Rain / Save the Children」、マーヴィン・ゲイの(7)「Inner City Blues」といった選曲からもそのルーツが垣間見える。 

バンドメンバーにはクリスチャン・サンズ(Christian Sands, p)、ジェフ・テイン・ワッツ(Jeff Tain Watts, ds)、マルコ・パナシア(Macro Panascia, b)、クリスチャン・マクブライト(Christian McBride, b)といった凄腕が揃う。3曲で参加するニューヨークのヴォーカリスト、ジョイ・ブラウン(Joy Brown)のソウルフルな声も非常に印象的で、アルバムの完成度は極めて高い。

ベースのマルコ・パナシアとのデュオで演奏される(10)「James」はパット・メセニー&ライル・メイズの名曲。オールドスタイルの演奏の多い本作の中では異例の選曲だが、饒舌に語らい合う二人の洗練された即興演奏が素晴らしく楽しい。

(5)「Who Shot John」
アルバム収録バージョンとは演奏メンバーが異なっている。

Dan Wilson – guitar
Christian Sands – piano
Macro Panascia – bass
Jeff Tain Watts – drums
Joy Brown – vocals (6, 7, 9)
Christian McBride – bass (4, 8)

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