声とピアノで語らう真夜中の心の避難所『Midnight Shelter』

Sachal Vasandani & Romain Collin - Midnight Shelter

サシャル・ヴァサンダーニ&ロメイン・コリン『Midnight Shelter』

シカゴ出身のヴォーカリスト、サシャル・ヴァサンダーニ(Sachal Vasandani)とフランス生まれのピアニストのロメイン・コリン(Romain Collin)、ともに現在はニューヨークで活躍する二人がコロナ禍で作り上げた“声とピアノ”の傑作『Midnight Shelter』

サシャル・ヴァサンダーニの歌は淡々としていながらもその奥に激しい感情の機微を含み、ロメイン・コリンは繊細なピアノで寄り添いながら歌のストーリーを引き立てる。この二人の演奏はどこまでも奥が深く、多面的な人間の感情や複雑な社会をそのままに描き出している。ここでは通常のヴォーカルの録音では編集で取り除かれることも多い、呼吸や歌以外の口が発する雑音も生々しく記録されたままとなっており、この選択がより一層作品の親密さや人間らしさを増長しているように思える。

パンデミックの中で行き場を失った私たちの真夜中の避難所(Midnight Shelter)。心も身体も繊細で壊れやすい人間という生き物が生きていくために必要な音楽ともいうべき素晴らしい声とピアノをじっくりと堪能したい作品だ。

ボブ・ディランの名曲(7)「Don’t Think Twice, It’s All Right」

略歴

サシャル・ヴァサンダーニは1978年シカゴ生まれのヴォーカリスト/作曲家。1999年にダウンビート誌によって大学生ジャズヴォーカリスト・オブ・ジ・イヤーに選出され注目を集め、ウィントン・マルサリス(Wynton Marsalis)のジャズオーケストラと共演。2007年にはMack Avenue Recordsから『Eyes Wide Open』でアルバムデビューを果たし、これまでにボビー・マクファーリン(Bobby McFerrin)、ミルトン・ナシメント(Milton Nascimento)、ビル・チャーラップ(Bill Charlap)、ナタリア・ラフォルカデ(Natalia Lafourcade)、グレッチェン・パーラト(Gretchen Parlato)、カミラ・メサ(Camila Meza)といったアーティストらと広く共演してきた。

ロメイン・コリンは1979年、フランス生まれのジャズピアニスト/作曲家。バークリー音楽大学への入学を機にアメリカに移住している。エレクトロニカを用いe.s.tのような先鋭的な演奏も見せたかと思えば時に非常に繊細なタッチで牧歌的な演奏も行うなど、幅広いスタイルを持つ。ビル・フリゼール(Bill Frisell)、グレグア・マレ(Gregoire Maret)と共演した『Americana』(2020年)はグラミー賞にノミネートされた。

Sachal Vasandani – vocal
Romain Collin – piano

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