バルセロナの大所帯バンドTxarango、豪華ゲストを迎えた正真正銘ラストアルバム

Txarango - El Gran Ball

バルセロナ・ミクスチャーを代表するバンド、チャランゴ

2010年代のバルセロナ・ミクスチャーのシーンを代表する10人組バンド、チャランゴ(Txarango)は、4枚目のアルバム『De vent i ales』(2020年)リリース後に解散の予定だった。しかし新型コロナ禍のため2020年に予定されており既に前売りチケット10万枚を販売済みだった最後のツアーは中止に。その“悲しみとショックを補うため”、同国の音楽シーンを代表する50組以上のアーティストを招き彼らの代表曲を再録音し、2枚組のアルバム『El Gran Ball』として完成させた。

23,500枚の限定盤フィジカルは中止となったツアーチケットとの交換なども含め完売したが、2021年6月13日からSpotifyやApple Musicなどのデジタル・ストリーミング配信も開始され、世界中のファンの耳に届くようになった。

とにかくゲストが豪勢で、そのクレジットを眺めるだけでもチャランゴというバンドがカタルーニャの音楽シーンに刻んだ大きな足跡を認識できる。ゲストのほんの一部を紹介すると、カタルーニャ独立運動の象徴的存在であるベテランSSWリュイス・リャック(Lluís Llach)、カリスマ的な人気を誇るジェラール・キンタナ(Gerard Quintana)、ラテン・ヒップホップの歌姫アナ・ティジュー(Ana Tijoux)、カタルーニャ新世代を代表する歌姫ジュディット・ネッデルマン(Judit Neddermann)にジェンマ・ウメット(Gemma Humet)、多数の若手ジャズミュージシャンを輩出するサン・アンドレウ・ジャズ・バンド出身のトランペッター/歌手アンドレア・モティス(Andrea Motis)、そして2020年のパンデミックの最中に結成されたトリオステイ・オマス(Stay Homas)、若くしてカタルーニャのスターにのし上ったSSWニール・モリネール(Nil Moliner)、バレンシアの社会派バンドZoo、ラテングラミー賞ノミネートの新星ポップ歌手アルバ・レチェ(Alba Reche)、スペインを代表し2019年のユーロヴィジョン・ソングコンテスト決勝進出のSSWミキ(Miki Núñez)、人気男女デュオマルセル&フリア(Marcel i Júlia, 男性のマルセルはチャランゴの創立メンバー)などなど。

このバンドの魅力であるレゲエやスカをベースとしたミクスチャーサウンドは本当に魅力的で、エネルギーに満ちたブラス、爽快なリズム、そしてほんの少しの懐かしさや寂しさも感じさせるメロディーとコード進行は訴求力抜群。バンドの解散は残念だが、メンバーの今後の活躍も楽しみにしたい。

Zooをフィーチュアした(1-6)「Una Lluna a l’aigua」
アンパラノイア(Amparanoia)とムエルド(Muerdo)を迎えた(1-7)「Bendita vida

チャランゴ(Txarango)は2010年にスペインのバルセロナで結成された。バンド名は初期メンバーであるマルセル・ラザラ(Marcel Lázara)が演奏していた南米アンデス地方の楽器に因む。
これまでに4枚のフルアルバムをリリース。レゲエ、スカなどのジャマイカ音楽をベースにロックやラテン音楽も融合したサウンドは強烈なポップ性とインパクトを持ち、2015年にはフジロックフェスティバル、2017年には朝霧JAMにも出演。日本のファンからも多くの支持を得ている。
2019年末に2021年2月末をもってバンドを解散することを発表していた。

ジェンマ・ウメット(Gemma Humet)らが参加した(2-13)「Agafant l’horitzó」

Txarango :
Alguer Miquel
Sergi Carbonell ‘Hipi’
Joaquim Canals
Àlex Pujols
Pau Puig
Ivan López
Jordi Barnola
Joan Palà
Pau Castellví
Sisco Romero

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