ニコラス・クラシッキが奏でるジルベルト・ジル曲集
フランス生まれ、ブラジルで活躍するヴァイオリン奏者ニコラス・クラシッキ(Nicolas Krassik)によるブラジル音楽の巨匠ジルベルト・ジル(Gilberto Gil)曲集『Estrela』がリリースされた。
本作はジルベルト・ジルの70〜90年代のレパートリーを中心に選曲されており、ピアノのサロマォン・ソアレス(Salomão Soares)、パーカッションのゲゲ・メデイロス(Guegué Medeiros)、7弦ギターのジアン・コレア(Gian Correa)といった若手の名手たちとの演奏が収録されている。
ニコラス・クラシッキのヴァイオリンはハベッカ(ブラジルに土着のフィドル)のような素朴な表現を追求しているように感じるところもあるが、これは(2)「De Onde Vem o Baião」、ジルベルト・ジルとドミンギーニョス(Dominguinhos)の共作曲(3)「Lamento Sertanejo」など随所にブラジル北東部のリズムを持ち込んでいるためだろう。それでもパリ的な優雅な音色が勝るのは、やはりディディエ・ロックウッドやステファン・グラッペリ(Stéphane Grappelli)といったフランスの名ヴァイオリン奏者たちや、フランスの音楽からの多大な影響の所以のようにも思う。
フランス生まれのブラジル音楽演奏家
ニコラス・クラシッキ(Nicolas Krassik)は1969年フランス・パリ生まれ。1989年にフランスの国立音楽院から最初のヴァイオリン賞を受賞、それからヴィンセント・クルトワ(Vincent Courtois)、ディディエ・ロックウッド(Didier Lockwood)、ミシェル・ペトルチアーニ(Michel Petrucciani)といった欧州を代表する名手たちと共演を重ねるが、2001年にブラジルのリオデジャネイロに移住。ショーロやサンバ、フォホーなどブラジルの現地音楽と西洋クラシックやジャズを融合したスタイルへと変化させ、ヤマンドゥ・コスタ(Yamandú Costa)、ベッチ・カルヴァーリョ(Beth Carvalho)、ジョアン・ボスコ(João Bosco)、マリーザ・モンチ(Marisa Monte)などブラジルを代表する多くの音楽家たちと共に演奏を行ってきた。
Nicolas Krassik – violin, percussion
Salomão Soares – piano
Gian Correa – 7 strings guitar
Daniel Santiago – guitar, bass, programing
Guegué Medeiros – percussion
Chris Mourão – caxixi
Carlos Cesar – pandeiro