ブラジルの人気兄妹グループ、Melimがジャヴァンを歌う
ブラジルの2015年から活動を続ける人気兄妹コーラスグループ、メリン(Melim)によるジャヴァン名曲集『Deixa Vir Do Coração』が誕生した。
ここには(1)「Se」、(4)「Samurai」、(10)「Oceano」など、もはやクラシックの貫禄のあるMPBの名曲がずらりと並んでいる。兄妹の歌唱は洗練されており、魔法のようなジャヴァンの音楽と組み合わさることで2020年代のブラジル音楽の姿を鮮やかに描き出す。
伴奏を務めるのは二人のギタリストで、ジャヴァンの息子マックス・ヴィエラ(Max Viana)と、シンガーソングライターのジュリアーノ・モレイラ(Juliano Moreira)が担当。パーカッシヴでグルーヴィーな演奏が極上のMPBサウンドを堅実にサポートしている。
このアルバムはホドリゴ(Rodrigo)、ヂオゴ(Diogo)、ガブリエラ(Gabriela)のメリン兄妹のさりげない車の中での会話がきっかけで誕生したという。1990年代生まれの彼らにとっても、ジャヴァン(Djavan, 1949 – )は最高のアイドルであり、その音楽が与えた影響は大きいという。
(2)「Outono」にはそのジャヴァン本人がヴォーカルで参加。72歳となり一層渋みを増した極上の声を聴かせてくれる。録音風景を収録したヴィデオでは、Melim兄妹の憧憬の込められた眼差しがとても印象的だ。
温故知新で人気を博すヴォーカル・グループ
双子の兄ホドリゴとヂオゴは1992年生まれ。妹ガブリエラは1994年生まれ。両親の影響で幼少時から様々な音楽に親しみ、キーボードやギター、ドラムのレッスンなども受けた。兄妹グループ結成前はホドリゴとヂオゴは学校で友達とロックバンドを組んだりバーで歌い、一方のガブリエラもソロアーティストとしてサンバを歌う活動を行っていた。2015年に3人でその苗字をグループ名としたグループ“Melim”を結成。オーディション番組に出場しセミファイナルまで進出。翌年にユニバーサル・ミュージックと契約し、YouTubeで4億回近い再生回数を誇るデビュー曲「Meu Abrigo」を含むデビューEP『Melim』(2017年)を発表、翌年にアルバム『Melim』をリリース。
2019年にはディズニーの映画、実写版アラジンの主題歌のポルトガル語版を担当するなど、サンバやボサノヴァといった伝統的なポピュラー音楽の地力をもった名実ともに現代のブラジル音楽を代表するヴォーカル・グループとして国内外で人気を拡大している。
Melim :
Rodrigo Melim – vocal
Gabriela Melim – vocal
Diogo Melim – vocal
Max Viana – guitar
Juliano Moreira – guitar
Guest :
Djavan – vocal (2)