北欧ジャズチューバの鬼才ダニエル・ハースケダール、温かく音響的な新譜『Harbour』

Daniel Herskedal - Harbour

ノルウェーの鬼才ダニエル・ハースケダール新譜『Harbour』

あまりに孤独で芸術的な前作『Call for Winter』を経て、ノルウェーの鬼才チューバ奏者ダニエル・ハースケダール(Daniel Herskedal)がトリオで戻ってきた。新譜『Harbour』はピアノにエイヨルフ・ダーレ(Eyolf Dale)、ドラムスにヘルゲ・アンドレアス・ノールバッケン(Helge Andreas Norbakken)という名手を迎え、チューバとバストランペットを駆使する彼にしか表現できない厳粛な音世界を描き出す。

トリオにはベース奏者がいないが、低音を担当するのは当然ダニエル・ハースケダールのチューバだ。
中音域はピアノの左手と、主に旋律を担当するバストランペットが担う。高音域を埋めるのはピアノの右手だ。
今作はこのバランスがとても心地よく、バストランペットの温かく揺らぐ音色には癒しの精霊が宿るようだ。

真摯なチューバとバストランペットの音色がこの上なく美しい(1)「The Mariner’s Cross」、マリンバが効果的に響く(2)「Ice-free」、オリエンタルな旋律が特徴的な(6)「Dancing Dhow Deckhands」などなど個性的な曲が並ぶ。特にドラムスのヘルゲ・アンドレアス・ノールバッケンが刻む変化に富んだパルスは特筆すべきだ。元e.s.tのマグヌス・オストロムにも通じる現代の北欧ジャズ・ドラムのひとつの流派を継承する素晴らしいリズムで、本作への貢献度は計り知れない。

そうした楽曲群に洗練を与えるのがエイヨルフ・ダーレの透明感のあるピアノ。クラシック、現代音楽、ジャズに影響された彼の音はとにかく新鮮で、哲学と詩情の世界に浸りがちなダニエル・ハースケダールの音に生命の源となる雨を降らせているかのような、外へと向かう開放的な力をもたらしているように聴こえる。

(1)「The Mariner’s Cross」

Daniel Herskedal – tuba, bass trumpet
Eyolf Dale – piano, celesta
Helge Andreas Norbakken – drums, marimba

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