アンドレ・マルケス、ソロピアノでのフォホー・アルバム
エルメート・パスコアールのバンドで活躍するピアニスト、アンドレ・マルケス(André Marques)のソロピアノ作『Forró de Piano』は、その名の通り本来アコーディオン(サンフォーナ)やトライアングル、ザブンバなどで演奏されるブラジルの伝統音楽フォホー(Forró)をピアノ一台のみという珍しいフォーマットで表現したアルバムだ。
アンドレ・マルケスがブラジル北東部の伝統音楽であるフォホーに興味を持ったのは90年代頃、師エルメート・パスコアールとの出会いがきっかけだったという。以降彼はフォホーのリズムを研究し、ピアノでの再現を試みてきた。フォホーのソロピアノ集を出すという構想は2017年頃には既にあったようだ。
ここではドミンギーニョス(Dominguinhos)の(2)「Eu só quero um xodó」、エルメート・パスコアール(Hermeto Pascoal)の(3)「Escuta meu piano」、ルイス・ゴンザーガ(Luiz Gonzaga)の(7)「Sabiá」、エグベルト・ジスモンチ(Egberto Gismonti)の(9)「Lôro」など、フォホーやそれに強い影響を受けた音楽家たちの作品と、アンドレ・マルケス自身によって作曲された楽曲が収録されている。
アルバムを聴いてみると、フォホーを謳ってはいるものの、やはりアンドレ・マルケスらしいブラジル音楽とジャズのハイブリッドなアプローチによる革新的な演奏にすぐさま惹き込まれる。彼自身によるオリジナルの(1)「Forrozinho」はフォホーらしい高揚感や明るさがある曲で、トライアングルや低音太鼓がないのに、まるでそれらの音が聴こえてくるかのような踊り出したくなる演奏だ。
アンドレ・マルケス(André Marques)は1975年生まれ。1990年代半ばからエルメート・パスコアールのグループで活躍しながら、ソロでも活動を行っており、2015年にはジャズの巨匠ジョン・パティトゥッチ(John Patitucci)、ブライアン・ブレイド(Brian Blade)と共演したアルバム『Viva Hermeto』もリリースしている。
André Marques – piano