アミット・フリードマン、多彩さも秘めた正統派イスラエルジャズの新譜

Amit Friedman - Unconditional Love

サックス奏者アミット・フリードマン、正統派イスラエルジャズの新譜

イスラエル出身のサックス奏者/作曲家アミット・フリードマン(Amit Friedman)が同国を代表する気鋭ジャズ奏者たちと共演した新作『Unconditional Love』をリリースした。カルテットのメンバーにはセロニアス・モンク・コンペティション優勝のトム・オレン(Tom Oren)に、イスラエルを代表するベーシストのギラッド・アブロGilad Abro)、そしてガイ・ミントゥスのトリオでも活躍するドラマーのヨナタン・ローゼン(Yonatan Rosen)を擁する。

ポール・マッカートニー作の(10)「Junk」を除き、すべてアミット・フリードマンのオリジナル。ジャズやブルースの伝統に則りつつ、変拍子やジューイッシュな旋律が織り交ぜられ、さらには(8)「Sunset」、(9)「Stride by Stride」ではアモス・ホフマンAmos Hoffman)がウードでゲスト参加するなどイスラエル・ジャズの王道とも言えるサウンドは聴きやすい。特に後者は女性シンガーソングライターのドロン・タルマンDoron Talmon)がヴォーカルをとり、アルバムに華やかさをもたらす。

(5)「Rill Rool」はピアノのトム・オレンとのデュオで演奏される。クラシックで磨いた確かな演奏技術を持つトム・オレンのピアノは、逆にそれが仇となってダイナミクスに欠け没個性に陥りがちだと感じることも多いが、ここでの演奏はサックスとのデュオ故か室内楽のベクトルでうまくまとまっている。

(2)「Mal-Mal」はアヴィシャイ・コーエンを彷彿とさせるイスラエル・ジャズの王道的な演奏。

ブラジル出身の打楽器奏者/シンガーのジョカ・ペルピナンJoca Perpignan)がポルトガル語で歌う(7)「Alma」は陽だまりのようなあたたかさを湛えた豊かな曲。穏やかなラテンの風が吹くリズムが心地いい。

ジョカ・ペルピナンによってポルトガル語で歌われる(7)「Alma」

アミット・フリードマンは2012年にジャズセクステットとストリングス・カルテットで録音した『Sunrise』でデビューし、この作品は同年イスラエルで最も売れたジャズアルバムとなった。

今作は彼が若い頃、今は亡き父親がブルーノート・ニューヨークに連れて行ってくれた一晩の思い出に捧げられている。

Amit Friedman – tenor saxophone, soprano saxophone
Tom Oren – piano
Gilad Abro – bass
Yonatan Rosen – drums
Amos Hoffman – oud (8, 9)
Rony Iwryn – percussion (7, 8, 9)
Doron Talmon – vocal (9)
Joca Perpignan – vocal (7)

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