新しいルゾフォニアを探求する美しい四重奏でジスモンチの名曲を。

Antoinette Trio - Rhizomes

クラシック、ジャズ、民族音楽の見事な調和『Rhizomes』

フルート、バスクラリネット、ギター、ピアノという編成で奏でられる美しく創造的なエグベルト・ジスモンチ曲集『Rhizomes』。演奏しているのはアントワネット・トリオ(Antoinette Trio)と、かつてフランスを代表するビッグバンドでディレクターを務めたピアニスト/作編曲家のデニス・バドルト(Denis Badault)の4人。ジスモンチの名曲にフランスらしい創造的なエスプリを濃厚に詰め込んだアレンジと演奏が素晴らしい。

原曲をリスペクトしつつ、多くの曲には大胆なアレンジが施されている。
思索的なイントロで始まる(1)「Frevo」は9分半の中でジャズや前衛的な表現が次々と現れるが、どの部分もそれぞれの楽器の音色やアンサンブルがこの上なく美しい。比較的素直なアレンジの(4)「Água e Vinho」、実験的な様相の(8)「7 Aneis」など、ジスモンチのファンはもちろん、現代音楽や室内楽ジャズのファンに自信をもってお勧めしたい作品だ。

(1)「Frevo」

ギターのトニー・レイテTony Leite)、クラリネットのアルナウド・ホーネットArnaud Rouanet)、フルートのジュリー・オードワンJulie Audouin)から成るアントワネット・トリオは、新しいルゾフォニア(ポルトガル語圏のこと)の音楽と創造性をテーマに活動している。彼らの音楽はクラシック音楽からポルトガルのファド、ブラジルのショーロやフレーヴォといった伝統的な大衆音楽、さらにはジャズまで横断的に巻き取りながら進行する。その推進力となるのは知性と遊び心だ。ここに加わるデニス・バドルトのピアノはクラシックとジャズの折衷で、民族的で前衛的なアントワネット・トリオと美しく融合し、洗練さを与えている。

アルバムタイトルの「リゾーム」とは元は植物の地下茎のことで、転じてさまざまなものが横断的な関係で結びつくさまを表す。世界各地で脈々と受け継がれてきた音楽の文化を、エグベルト・ジスモンチという類稀な作曲家が産んだ美しい楽曲を通して創造的に表出させた傑作だ。

(8)「7 Aneis」

Tony Leite – guitar
Arnaud Rouanet – clarinettes
Julie Audouin – flute
Denis Badault – piano

Antoinette Trio - Rhizomes
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