ギリシャ発燻銀ベーシスト、アポストロス・シデリスによる極上エキゾジャズ作品

Apostolos Sideris - Summation

ギリシャの燻銀ベーシストによる知られざる地中海ジャズ良盤

ギリシャ・アテネ出身のベーシスト/作曲家、アポストロス・シデリス(Apostolos Sideris)の2019年作 『Summation』は、ピアノトリオを軸に、楽曲によってネイやヴァイオリン、パーカッションも加わった魅力的なエキゾジャズ作品だ。

アポストロス・シデリスのベースは太く力強く、イスラエルのアヴィシャイ・コーエンをも思わせる。かのエスペランサ・スポルディングのデビュー作にも参加していたアルゼンチン出身のピアニスト、レオ・ジェノヴェス(Leo Genovese)とギリシャのドラマー、ディミトリス・クロニスDimitris Klonis)とのトリオは派手さこそないが思慮深いアンサンブルで聴かせる。

アルバム収録曲は全曲アポストロス・シデリスのオリジナル。陰影を湛えた地中海の古い時代の室内楽を思わせる曲調のものが多く、少し埃っぽい美術の匂いが感じられる。アポストロス・シデリスはアルバム中唯一、(6)「Makeshift fishing net」でヴォーカルも聴かせてくれるが、これがなかなか味があって良い。

(3)「Ramallah」

(3)「Ramallah」と(11)「La Dance Occasionnelle」にはイタリア出身のネイ(中東地域の伝統的な縦笛)奏者のアンドレア・ロマーニ(Andrea Romani)やヴァイオリン奏者ヤニス・ポリオス(Giannis Poulios)らも参加。混沌ぎりぎりのアンサンブルはとてつもなくエキサイティングだ。

アポストロス・シデリス略歴

アポストロス・シデリスは1978年生まれ。15歳頃からエレキギターをやっていた兄の影響を受けてエレキベースを始める。アテネ周辺のさまざまなロックバンドで演奏しながら、18歳の頃には彼の興味はジャズに向いていたという。

米国のバークリー音楽大学に留学してからアップライトベースを学び始め、名手ジョン・パティトゥッチ(John Patitucci)に師事し研鑽を積んだ。これまでにクラレンス・ペン(Clarence Penn)などのジャズの巨匠から、ギリシャの著名歌手サヴィナ・ヤナトゥ(Savina Yannatou)、シリアの歌手ヨーゼフ・ハッサブ(Youssef Khasab)など幅広く共演。
現在はトルコのイスタンブールを拠点に活動を行なっている。

Apostolos Sideris – double bass, vocal (6)
Leo Genovese – piano
Dimitris Klonis – drums

Guests :
Adel Christos Sagient – percussion (2, 8)
Andrea Romani – ney flute (3, 11)
Giannis Poulios – violin (3, 11)
Yiannis Moutsakis – percussion (8, 11)

Apostolos Sideris - Summation
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