ウードの伝道師ジョセフ・タワドロス新譜は奇想のエジプシャン・ジャズ

Joseph Tawadros - Hope in an Empty City

ジョセフ・タワドロス、意外なメンバーを集めた奇想の新譜

エジプト出身、オーストラリア拠点に活動するウード奏者ジョセフ・タワドロス(Joseph Tawadros)の新譜『Hope in an Empty City』はジャズファンとワールドミュージックファンの双方に強く訴求する注目作だ。

演奏メンバーにはイラク/ヨルダンにルーツを持ちアラブ音楽に精通するヴァイオリニストのライス・シディクLayth Sidiq)、モードジャズの名手であるベーシスト、スコット・コリー(Scott Colley)、メタルからフリージャズまで多様性が魅力のドラム/タブラ奏者ダン・ウェイスDan Weiss)、さらには上原ひろみとの共演でも知られる狂才ギタリストのデヴィッド・フュージンスキー (David Fiuczynski)が名を連ねている。

サウンドにはフュージョンの色合いはなく、アラブ音楽を西洋音楽のフィルターをまぶして聴きやすくしたジャズといった印象。西洋音楽には見られない、アラブ音楽に特徴的な微分音もそれほど強調されているわけではなく、ウードを中心とした音楽としては聴きやすい部類ではないだろうか。

(1)「Smoke and Mirrors」

ジョセフ・タワドロス略歴

ジョセフ・タワドロスは1983年エジプトの首都カイロ生まれ。3歳の頃に家族とともにオーストラリアに移住したが、両親からの影響でエジプト文化への興味は絶えず、8歳の頃からウードの演奏を始めた。

特定のジャンルに拘らず、あらゆる音楽をウードで表現する適応力が強みで、これまでにジョン・アバークロンビー(John Abercrombie)やジャック・デジョネット(Jack DeJohnett)といったジャズ畑からオーストラリア室内管弦楽団、エンシェント室内管弦楽団といったクラシック畑、さらにはインドのタブラ奏者ザキール・フセイン(Zakir Hussain)やカメルーンの天才音楽家リチャード・ボナ(Richard Bona)といったグローバル・ミュージックに至るまでにウードという楽器を持ち込み融合を試みてきた。

その新鮮な音楽性が高く評価され、これまでにオーストラリアのレコード協会(ARIA)主催のアワードでベスト・ワールドミュージック賞を4回受賞。

2020年にはシドニーのオペラハウスでの交響楽団との共演を録音したアルバム『Live At The Sydney Opera House』をリリースしている。

Joseph Tawadros – oud
Layth Sidiq – violin
Scott Colley – double bass
Dan Weiss – drums
David ‘Fuze’ Fiuczynski – guitar

Joseph Tawadros - Hope in an Empty City
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