ハイクオリティな現代フラメンコ、Mundo Divino 待望のデビュー作
デビューシングル「Loca」を聴いて気になっていたスペインの二人組バンド、ムンド・ディヴィーノ(Mundo Divino)が、待望のデビューアルバム『En el mismo reloj』をリリースした。
Mundo Divinoのメンバーはギターやフレットレスベース、カリンバなどを担当するカルロス“エルカリンベロ”(Carlos “elcalimbero”)と、ヴォーカルのマリア・デル・タンゴ(Maria del Tango)。親と子ほど年齢の離れたように見える男女ユニットだが、音楽と文学の感性が一致し数年前から二人で地道な活動を行なっているとのこと。
サウンドはフラメンコを基調としており、スペイン特有のフラメンコギターやメリスマ(こぶし、と訳される)の効いた歌が特徴的だが、コンテンポラリー・ポップスに寄った聴きやすさも。数曲でエルカリンベロが弾くカリンバの音もアクセントになっていて面白い。
何枚かのシングル(とそれに伴う美しいヴィデオ)を経て、満を持してリリースされたアルバムはそれ全体が壮大な抒情詩のようで素晴らしい。サウンドはコンセプチュアルで、フラメンコと聞いて激しく掻き鳴らされる超絶ギターを期待すると肩透かしを喰らうかもしれないが、かつての名ミクスチャーバンド、オホス・デ・ブルッホ(Ojos de Brujo)の路線を思い浮かべて頂いた方が良いかもしれない。
“神の世界”を意味する大仰なバンド名だが、彼らの世界観は決して名前負けはしていない。
収録された楽曲はどれもクオリティが高いが、特に現代的なサウンドで多彩な展開を見せる8分40秒におよぶラストの(8)「En el mismo reloj」(同じ時計で)は圧巻だ。シンセも多用していながら、それ以上にギターやカリンバなどのオーガニックな手触りが魅力的。今後の活動が楽しみな二人組だ。