サミー・ティボー、キューバ勢を迎えたラテンジャズ三部作完結編
フランスのテナーサックス奏者サミー・ティボー(Samy Thiébault)新譜『Awé !』。
カリブ海周辺音楽のルーツを探究する『Caribbean Stories』(2018年)、交響楽団を率いインド音楽の精神世界との融合を試みた壮大な『Symphonic Tales』(2019年)に続く、ラテンジャズのソロプロジェクト三部作の集大成となる作品だ。
ローズピアノにエリック・レニーニ(Eric Legnini)、トランペットのブライアン・リンチ(Brian Lynch)、ピアノのマニュエル・バエラ(Manuel Valera)、ドラムスのダフニス・プリエト(Dafnis Prieto)などキューバやその他の地域から名手が集った演奏の迫力は相当なもの。さらには木管五重奏(フルート、オーボエ、クラリネット、バスーン、ホルン)や弦楽五重奏(第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス)が加わった曲もあり、重厚なアンサンブルが楽しめる。
ジャズボッサ風の(1)「Baila」、イノル・ソトロンゴ(Inor Sotolongo)のパーカッションが効いたアフロラテンジャズ(3)「Awé !」、本作唯一のヴォーカル曲、キューバ出身シンガーのラモス・ロドリゲス(Yaite Ramos Rodriguez)が歌う(11)「Alma del Sur」などバリエーションも豊か。名手揃いでそれぞれが主張の強い演奏をしているため、聴きどころも満載な楽しいアルバムだ。
サミー・ティボー(Samy Thiébault)は1978年にフランス人の父親とモロッコ人の母親のもと、コートジボワールで生まれた。フランスのボルドー音楽院、パリ国立高等音楽院で学び、ジャズ、カリビアン・ミュージックを混在させたスタイルが特徴。2004年に『Blues for Nel』でデビュー、これまでに9枚のアルバムをリリースしている。
Samy Thiébault – tenor saxophone
Brian Lynch – trumpet
Eric Legnini – rhodes
Manuel Valera – piano
José Gola – electric bass
Yunior Terry – double bass
Dafnis Prieto – drums
Inor Sotolongo – percussion
Anne-Cécile Cuniot – flute
Hélène Gueuret – oboe
Camille Lebrequier – horn
Cécile Hardouin – bassoon
Bastien Stil – tuba
César Poirier – clarinet
Clara Abou – violin
Anaïs Perrin – violin
Benachir Boukhatem – viola
Sophie Chauvenet – cello
Odile Simon – double bass
Mathieu Gautron Yaité – bandoneon
Yaite Ramos Rodriguez – voice