東洋的な叙情性を湛えたクリチバのSSW、Murilo Silvestrim
ブラジル・パラナ州都クリチバのSSW、ムリロ・シルヴェストリン(Murilo Silvestrim)の2021年新譜『Encontrar』。自身のアコースティックギターとヴォーカルのみのソロEP『A Última Luz Acesa Madrugada Adentro』を経て発表された本作は、多様なゲストを迎え、アーティストのオーガニックで温かな心が感じられる詩情溢れる作品となっている。
カタリーナ・グシケン(Catarina Gushiken)が今作のために描いた三線を持った女性の美しい浮世絵のジャケットアートのイメージの通り、東洋の思想からの強い影響を受けている。ピアノやチェロ、フルートといった楽器を中心とした室内楽風のアレンジが全編を覆っており、思慮深く歌われる歌はとても叙情的。
(5)「Porto, Mãe」では人間国宝・故山口五郎氏に師事し、1999年には天皇皇后両陛下の御前でも演奏した尺八奏者シェン・ヒベイロ(Shen Ribeiro, シェン響盟)がゲスト参加。音階や和音など音楽の要素としては西洋音楽そのものなのだが、自然の美しさにインスパイアされたゆったりとした歌と楽器の音色は親しみやすく心に響く。
新進気鋭のピアノスト、クリューバー(Klüber)と、歌手ナタリア・ベルムデス(Natalia Bermúdez)をフィーチャーした詩的な(6)「Espuma dos Dias」はそのメロディーの美しさで今作のハイライトのひとつ。
ムリロ・シルヴェストリンは2016年にアルバム『Prisma』でデビュー。2作目のフルアルバムとなる今作『Encontrar』には3年の制作期間を費やしており、自然との繋がりや自己の内面の探求というテーマを深堀りしている。
Murilo Silvestrim – vocal, guitar, viola caipira, synths, beats, effects
Érica Silva – contrabass
Cassiano Wogel – contrabass
Lucas Guedes – cello
Ana Paula Cervellini – viola
Bia Cervellini – violin
Gabriela Bruel – percussion
Klüber – piano
Liane Guariente – vocal
Natalia Bermúdez – vocal
Plínio Silva – harmonium, flute
Shen Ribeiro – shakuhachi