ジャンルを縦横無尽!人気ヴァイオリン奏者アラ・マリキアンの新譜『Ara』

Ara Malikian - Ara

無邪気に躍動するアラ・マリキアンの新譜

ジャンルを縦横無尽に飛び越えヴァイオリンの可能性を探求するレバノン出身のアラ・マリキアン(Ara Malikian)が自身の名を冠した新譜『Ara』をリリースした。今作もジャズ、フラメンコ、プログレッシヴ・ロック、ヒップホップなど充分すぎるほどの多様性を盛り込んだ、彼らしい破天荒な作品となっている。

今作はアラ・マヌキアンが彼の息子の成長に刺激を受けたもので、子供の自由な発想がインスピレーションの源となっているそうだ。哀愁漂うバルカン音楽(1)「Cosquillas a un Mimo」、ジャズロックな(2)「Calamar Robótico」、幾分楽天的に時世を捉えたポップなラップの(4)「Social Distance」、美しさが際立つバラード(6)「Nana Arrugada」、インド音楽を取り入れた(9)「Sirdes Mouté U Tapour」などとにかくヴァリエーションが豊かで、ヴァイオリン演奏の天才的な実力と、既存の枠を破壊しようとし続ける個性が最大限に発揮された優れたアルバムだ。

(4)「Social Distance」

一方でその風貌に似合わず…といったら失礼なのかもしれないが、基本的にクラシック音楽が染み付きすぎているためかヴァイオリンの出音が上品すぎる感も否めず、ここまで様々な音楽を取り入れているのだからもっと滅茶苦茶に心のままに暴れてしまって欲しい、という思いも個人的には抱いてしまった。

Ara Malikian プロフィール

アラ・マリキアンは1968年生まれのアルメニア系レバノン人で、現在はスペインを活動の拠点としている。
父の手ほどきで幼少期からヴァイオリンを始め、レバノンの内戦の混乱で長期間をシェルターで過ごさなければならなかった困難な時期があったにも関わらず、その才能を見事に開花。12歳で初めてのコンサートを行い、14歳で著名な指揮者ハンズ・ハーバート・ヨリス(Hans Herbert Jöris)に見込まれドイツ政府からの奨学金を得て最年少の学生としてハノーファー音楽演劇大学に学んだ。

若い頃には数々の国際コンクールで優勝し、以降も複数のプロジェクトを率いジャンルの境目なく活躍し“クラシック界のロックスター”の異名も。現在までに30枚近いアルバムをリリースし、クラシック・エンターテイメント集団パギャグニーニ(Pagagnini)のリーダーとして来日経験もあるなど世界的な人気を誇る現代有数のヴァイオリン奏者。

(5)「Nana Arrugada」

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