多数の旬な音楽家が参加したスコット・キンゼイ&メル・サルのデュオ作
ジョー・ザヴィヌルの最後の愛弟子として知られる鍵盤奏者スコット・キンゼイ(Scott Kinsey)と、シンガーソングライターのメル・サル(Mer Sal)の双頭名義によるアルバム『Adjustments』がリリースされた。
スコット・キンゼイが「これまでに多くのギタリストやサクソフォニストと演奏してきたけど、人間の声がもっとも表現力豊かな楽器であると気づいたんだ」と語るように、これまでインストゥルメンタル作品を中心に発表してきたキンゼイにしては異色の作品だ。相方として迎え入れたメル・サルはこれまで米国西海岸を拠点にベースを弾きながら歌うスタイルで活動を行なってきたシンガーソングライターで、今作収録曲は多くがメル・サルのオリジナル曲をスコット・キンゼイが編曲・プロデュースしたものとなっている。
サウンドはこれまでのスコット・キンゼイのアルバム同様、やはりジョー・ザヴィヌルの影響を強く受けたジャズ・フュージョン。主にメル・サルの作曲によるメロディー自体は比較的シンプルだが、複雑な和音進行のアレンジによって程よく耳馴染みのよいサウンドに仕上がっている。
アルバムにはいくつかのカヴァーも含まれている。スティーリー・ダンの(6)「Time Out of Mind」、ビーチ・ボーイズの(8)「Feel Flows」、そしてジョニ・ミッチェルとウェザー・レポートのメドレーである(11)「Down to You/Jungle Book」だ。
さらに特筆すべきはゲスト参加のミュージシャンの豪華さ。詳細は文末のクレジットで確認いただきたいが、トライバル・テックのスコット・ヘンダーソン(Scott Henderson)、ブラジル新世代ギタリストのペドロ・マルチンス(Pedro Martins)、NYのジャズシーンを席巻するイスラエル出身オズ・ノイ(Oz Noy)、今もっとも油が乗ってきた米国のニア・フェルダー(Nir Felder)など、ギタリストだけを見ても素晴らしいタレントが揃う。
そうした面でも聴きどころが多い要注目作だ。
Scott Kinsey – keyboards, Trilian bass (7,10), background vocals (10), vocals (11)
Mer Sal – vocals, electric bass (1,3), synth pedal bass (9)
Scott Henderson – guitar (1)
Pedro Martins – guitar (2)
Oz Noy – guitar (5)
Josh Smith – guitar (6)
Nir Felder – guitar (8)
Alex Machacek – guitar (12)
Tim Lefebvre – bass (2,4,9)
Hadrien Feraud – bass (5,12)
Jimmy Haslip – bass (6), background vocals (10)
Junior Braguinha – bass (8)
Michael Janisch – bass (11)
Gergo Borlai – drums (1,5,9)
Danny Carey – drums (2), tabla (10), background vocals (10)
Gary Novak – drums (3,4,6,7,8,10,11,12), background vocals (10)
Brad Dutz – percussion (4,6,7,8)
Steve Tavaglione – saxophone (6), EWI (7)
Walt Fowler – trumpet (6)
Sharanam Anandama – dulcimer, vocals (10)
Julio Salimbeni – background vocals (10)
Liza Salimbeni – background vocals (10)
Vivian Chen – background vocals (10)
Tim Dawson – background vocals (10)
Sumitra Nanjundan – background vocals (12)