カレリア伝統と現代的エレクトロサウンドの奇跡的な融合。リヤ・ヴォルコヴァの音楽の世界

Riya Volkova - Пряди воды

カレリアの音楽文化を魅力的に発信するSSW、リヤ・ヴォルコヴァ

ロシアのモスクワ郊外の都市ゼレノグラードを拠点に活動するシンガーソングライター、リヤ・ヴォルコヴァ(Riya Volkova)はロシア北西部〜フィンランド南東部のカレリア地方の伝統的な文化とエレクトロ・ミュージックの融合を試みている。ファーストアルバムとなる『Пряди воды』で彼女はツィター属の民族楽器カンテレを弾き、カレリア地方の危機に瀕している言語で歌い、最先端の魅力的なサウンドでその個性と才能を存分に発揮した美しい作品だ。

アルバムは冒頭の(1)「Ягель」から、地方文化の伝統を感じさせる弦楽器の音色に現代的な音響処理が見事にミックスされ、透明感のあるリヤ・ヴォルコヴァのヴォーカルが溶け込む独特の世界観に魅了される。1:40からキックの低音が加わるが、凡庸な四つ打ちではなく、所謂“ダンスミュージック”とは一線を画す。

(1)「Yagel(Ягель)」

続く楽曲群などアルバム全体のサウンドからも、彼女のクリエイターとしての視点の出発点は常に伝統音楽の側にあり、それらの電化は表現方法の手段のひとつでしかないことが窺える。
森林と湖に恵まれ、北欧に住む人々の心の故郷とも言われるカレリアの文化の伝道師としてこれから注目していきたいアーティストだ。

Riya Volkova プロフィール

リヤ・ヴォルコヴァ(ロシア語表記:Волкова Рия)は主に22弦のカンテレや、ロシアの伝統楽器グースリといったツィター属の演奏家であり、作曲家/歌手でもある。前述のようにカレリア文化の研究家/継承者でありながら、ステージではルーパーや各種エフェクターも活用した現代的なソロパフォーマンスも得意としている。
カンテレやバラライカを教えるスクールも開設するなど音楽教育者としても活躍。

カレリア地方の湖畔でカンテレ弾き語りをするリヤ・ヴォルコヴァ
Riya Volkova - Пряди воды
最新情報をチェックしよう!