ユダヤ系ジャズプログレで知られるMarbin、新譜は予想外!?なマヌーシュ・スウィング

Marbin - Fernweh

Marbinの2021年新譜『Fernweh』はアコースティックなマヌーシュジャズ

これまで数々の独創的な作品をリリースしてきたアメリカ・シカゴを拠点に活動するマルビン(Marbin)の新作『Fernweh』は、12枚目のアルバムにして初のスタンダード曲集だ。そしてジャンルも従来の彼らのアルバムとはまったく異なるものになっている。

Marbinはイスラエル系アメリカ人のギタリストであるダニ・ラビンDani Rabin)とイスラエル出身のサックス奏者ダニー・マルコヴィッチDanny Markovitch)によって2007年に結成された。これまでに作品毎にポール・ワーティコ、スティーヴ・ロドビー、アントニオ・サンチェス、ジャスティン・ローレンス、イアン・スチュワートといった名手のサポートを受け異なるスタイルの作品を生み出してきた。そんな彼らが今回はベースにジョン・ネイデルJon Nadel)を迎え、ドラムレスのトリオでジャンゴ・ラインハルトの名曲などをマヌーシュスウィング(ジプシージャズ)で演奏。アコースティックかつスタンダードということで、プログレッシヴ・ジャズの趣が強かったこれまでの彼らのアルバムとは一線を画す作品となっている──そのうえ、驚くほどに完璧にジャンゴのDNAを継ぐ超絶な演奏となっているのだから堪らない。

ダニ・ラビンとダニー・マルコヴィッチはともに伝統的なマヌーシュジャズから多大な影響を受けてきた。(1)「All of Me」から次々と繰り出されるソロは、従来のMarbinのサウンドを知っている人からすれば信じられないほど“本物”のマヌーシュスウィングだ。奇を衒うアレンジはなく、ストレートな感情表現を弦とサックスに鋭くぶつける。選曲も多くの人に受け入れられるだろう。間違いなくエキサイティングな音楽だし、もう誕生から1世紀近くが経とうとしているジャンゴ・ラインハルトが創出した音楽が今もまったく色褪せていないことをも証明している。

ホーギー・カーマイケル(Hoagy Carmichael)作曲のスタンダード(2)「Stardust」
ロシアン・ジプシーの名曲(3)「Dark Eyes(黒い瞳)」

Marbin :
Dani Rabin – guitar
Danny Markovitch – saxophone
Jon Nadel – bass

Marbin - Fernweh
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