台湾発新星ヴィブラフォン奏者チェンチェン・ルー、類稀な才能を発揮したデビュー作

Chien Chien Lu - The Path

ヴィブラフォンの深い余韻に浸る、Chien Chien Lu『The Path』

台湾出身のヴィブラフォン奏者、チェンチェン・ルー(Chien Chien Lu)。2020年に発表された彼女のデビュー作『The Path』は、“中華圏のグラミー賞”こと「金曲奨 」や、台湾インディーズ音楽賞「金音創作獎」にノミネート&受賞を果たした傑作と呼ぶに相応しい作品だ。

サンプリング・ソースとして人気のロイ・エアーズによる(1)「We Live in Brooklyn Baby」、テレサ・テンの歌唱などでも知られる台湾歌曲をソウルフルにアレンジした(5)「Blossom in a Stormy Night(雨夜花)」、マイルス・デイヴィスとビル・エヴァンスによって作曲された(6)「Blue In Green」、ビル・リーが作曲したスパイク・リー監督の映画のテーマ曲(12)「Mo’ Better Blues」といったカヴァー曲はもちろん、そのほかのオリジナルでも瑞々しい感性を見せた美しく艶やかな演奏がとても魅力的。ヴィブラフォンという楽器の特性によるものかもしれないが、その深い余韻に酔いしれる素晴らしい音楽体験を約束してくれる一枚となっている。

(1)「We Live in Brooklyn Baby」

独特の明るさや爽やかさ、温かさがあり、とにかく聴いていて気持ちが良い演奏とサウンド。R&Bやソウルに傾倒しているというチェンチェン・ルーの個性によるものも大きいだろう。ジャズ・ヴィブラフォンの魅力が大いに感じられる。

美しいバラード(9)「Tears and Love」

チェンチェン・ルー プロフィール

チェンチェン・ルー(魯千千)は1989年台湾生まれのヴィブラフォン/打楽器奏者/作曲家。6歳でピアノ、10歳でパーカッションを始め、2008年から台北国立芸術大学でクラシック音楽や作曲、パーカッションを学び、2015年に渡米後フィラデルフィア芸術大学ジャズ科でヴィブラフォンを専攻。ピアニストのヴィジェイ・アイヤーが指揮するバンドに参加したり、トランペット奏者ジェレミー・ペルトのクインテットにも参加するなど多くの経験を積んできた。
現在はジェレミー・ペルトのバンドでのツアーのほか、ベーシストのリッチー・グッズ(Richie Goods)とのコラボレーション作品のリリースも予定されている。

Chien Chien Lu – vibraphone
Shedrick Mitchell – piano
Richie Goods – bass
Allan Mednard – drums
Ismel Wignall – congas
Jeremy Pelt – trumpet
Quintin Zoto – guitar

Chien Chien Lu - The Path
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