南米の知られざる名曲を多数取り上げたGermán Gómez『Sesión』
アルゼンチンのSSW/打楽器奏者/ギタリストのヘルマン・ゴメス(Germán Gómez)の2021年作『Sesión (Beauchef)』が素晴らしい。丁寧に紡がれる8曲は自作の(3)「Almas Jugando Solas」を除くすべてがカヴァーで、女性SSWダマ・アシア(Dama Asia)とニカラグアの詩人ジョコンダ・ベッリ(Gioconda Belli)による(1)「Invitación」、ウルグアイのレオ・マスリア(Leo Masliah)作の(2)「Luna Sola」、同じくウルグアイのSSWフェルナンド・カブレラ(Fernando Cabrera)の(5)「Méritos y Merecimientos」、(7)「Imposible」、アルゼンチンのSSWルシオ・マンテル(Lucio Mantel)の(6)「Traidor del Cielo」など南米の知られざる名曲を多く取り上げている。
アコースティック楽器のみによるアンサンブルもまた素晴らしく、ピアノのエセキエル・マンテガ(Exequiel Mantega)、トランペットのリチャード・ナント(Richard Nant)といった気鋭の演奏家を迎えたジャズ寄りのアレンジが美しい。
見た目の年齢よりもずっと若々しく瑞々しいヘルマン・ゴメスのヴォーカルも温かな包容力があり、南米音楽の美しさが凝縮されたアルバムとなっている。
Germán Gómez プロフィール
ヘルマン・ゴメスはアルゼンチンのシンガー/打楽器奏者/教師。
これまでにリリアン・サバ(Lilián Saba)、ギロ・エスペル(Guillo Espel)、エセキエル・マンテガ(Exequiel Mantega)、ハイロ(Jairo)、マグダレーナ・レオン(Magdalena León)、オルケスタ・シン・フィン(Orquesta Sin Fin)など、フォーク、タンゴ、ロックを中心に多くのアーティストとレコーディングし、演奏してきた。
南米の多様なアーティストの楽曲を独創的なアレンジでアコースティック・カヴァーすることが特徴的で、これまでに『Mosaico』(2006)、『Vi Luz』(2012)、ペドロ・ロッシ(Pedro Rossi)との共作『Fuera de tiempo』(2014)、『Visitas』(2019)、そして今作『Sesión (Beauchef)』(2021)と5枚のアルバムをリリースしている。
現在は自作曲を中心とした新しいアルバムに取り組んでいるとのこと。
Germán Gómez – vocal, guitar, percussion
Exequiel Mantega – piano
Guido Martinez – contrabass
Richard Nant – trumpet, flugelhorn
Paulina Fain – flute