脈々と受け継がれるミナス音楽のDNA…SSWアルトゥール・アラウージョのデビュー作

Artur Araújo - Morada dos Ventos

トニーニョ・オルタ参加!ミナスのSSWアルトゥール・アラウージョのデビュー作

Artur Araújo

ブラジル・ミナスのシンガーソングライター、アルトゥール・アラウージョ(Artur Araújo)のデビューアルバム『Morada dos Ventos』がリリースされた。
ミナスの同世代の音楽家たちだけでなく、巨匠トニーニョ・オルタ(Toninho Horta)も1曲でゲスト参加し、MPBを代表するSSWネルソン・アンジェロ(Nelson Ângelo)も賛辞を寄せる2022年のブラジル音楽の要注目作だ。

ミナス音楽らしくジャズ、ロック、ファンク、クラシック、サンバやボサノヴァなどを境界なく絡めた豊かなサウンドで、開放感のある澄み渡った風景と、日々を生きる人々の素朴な営みが生み出す幸せな光景が目に浮かぶ。アルバムタイトルは“風の住まい”の意味で、まさにイメージにぴったりの音が壮大に繰り広げられる。

エデルソン・パンテイラ(Edelson Pantera)との共作曲(4)「Belo Horizonte」にはトニーニョ・オルタがギターとヴォーカルで参加し、ミナスらしいジャズ/フュージョン感覚に彩られた爽やかなバラードを展開。比較的シンプルなメロディーを複雑なコード進行で彩り、とてつもない名曲に仕上げるのはさすがミナスの伝統芸といったところだろうか。

アップテンポなサンバ(6)「Jangadas e Trens」は女性歌手バルバラ・バルセロス(Barbara Barcellos)とのデュエット。ゲストのジョアン・マシャラJoão Machala)が演奏するトロンボーンの味も良い。

(6)「Jangadas e Trens」のライヴ演奏動画。
アルバム収録版ではマルコス・ルファート(Marcos Ruffato)の作品でも歌っていた歌手バルバラ・バルセロス(Barbara Barcellos)も参加している。

アルバムのアートワークは画家/歌手として知られ、ハファエル・マルチニの妻でもあるレオノラ・ヴァイスマン(Leonora Weissman)が描いている。

Artur Araújo

ミナスが生んだ驚異的な才能のひとり、Artur Araújo

アルトゥール・アラウージョはブラジル東部のセアラー州出身。ボサノヴァ誕生から50年の節目の2008年に6弦のガットギターを手にし、音楽を始めた。
2014年にミナスジェライス州の古都オウロ・プレートに引越し、2017年には州都ベロオリゾンチに移住。そこで今作に参加しているような多くの音楽仲間と出会い、Covid-19によるパンデミック期間中にアルバムの構想を形にしていった。

彼はブラジル全土を旅した経験から、”世代”、”2022年”、”今”、”歴史の到達点”、そして”我々の進むべき道 “について語らないわけにはいかず、人生は未完成だが前進するしかないという確信を持つ。一冊の本のように多様な示唆をアルバムに詰め込み、アーティストとしての表現の旅を全世界に向けて見せ始めた。

最後に、優れたシンガーソングライターであり、ジョイスの元夫としても知られるネルソン・アンジェロが今作に寄せたコメントを紹介したい。

アルトゥールは文化的なつながりを断つことなく、鳥や森、滝、そして夢想家の道を自分流に繰り返しながら力強く歩んできた。そんなとき、音楽ほどその手助けに素晴らしいものはない。それは取るに足らないことないように見えるが、終わりのないものなんだ。そして時間が経てば、みんな同じ場所に一緒に到着する…
アルトゥール・アラウージョはついに、若い観客でいっぱいの会場でデビューしたんだ。

Nelson Ângelo

(8)「Janela do Dia」をソロで弾き語るアルトゥール・アラウージョ

Artur Araújo – vocal, acoustic guitar (1,2,8,10)
André Siqueira – flute, effects (4,5)
Cyrano Almeida – drums, percussion
João Paulo Avelar – bass & acoustic guitar (7)
Lucas de Mello – electric guitar & acoustic guitar (5)
Pedro Volta – keyboards, bandolim (4,8), acoustic guitar (4,9)

Guests :
Toninho Horta – vocal, electric guitar (4)
Christiano Caldas – accordion (5)
João Machala – trombone (1,6)
Barbara Barcellos – vocal (6)
Beto Lopes – electric guitar (7)
Paulo Francisco Tutuca – vocal (7)
Mariana Nunes – vocal (8)
Neto Bellotto – contrabass (8)
Lucas De Moro – keyboards (4,7,10)
Natália Mitre – vibraphone (10)
Daniel Guedes – percussion (1,2,6,7)
Tutuca Tiso – vocal (7)
Breno Mendonça – saxophone (1,6)
Ulisses Luciano – trumpet (1,6)

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