アーティストとしての表現の極みに辿り着いた、エリック・クラズノーの最新作

Eric Krasno - Always

新しい人生を手に入れたエリック・クラズノーの最新作

4作目となるらしいソロ作『Always』で、エリック・クラズノー(Eric Krasno)というギタリストの音楽をものすごく久しぶりに聴いた。おそらく、当時大好きで来日公演まで観に行ったソウライヴ(Soulive)やレタス(Lettuce)以来ではないかと思うが、私は今作で初めて彼の歌声を聴いた。

そして、はっきり言ってソウライヴの頃より、今のエリック・クラズノーの方が好きだ。

ここには単に技巧的なジャズギタリストではなく、ジャズやファンクやブルースを心から愛し、魂全体で音楽を表現する真のアーティストとしての彼がいる。本職歌手ではないアーティストの味のある歌が最高に素晴らしいし、ギタリストとしてはソウライヴなどではもっと音楽的に複雑なフレーズを頻繁に弾いていたように記憶しているが、ここではマイナー・ペンタトニックを中心に多様なリックでブルースの権化としての姿を現す。

(1)「Silence」

これまで米国で最も多忙な音楽家のひとりとしてギグからギグへと渡り歩いていたエリックだが、2021年に結婚し、家を買い、子どもも誕生。自らの人生の重要な存在意義といえる家族を“発見”し、パンデミックでの自粛期間も重なり一変した生活の中で生まれた作品が本作なのだという。ジャケットのアートワーク、そしてアルバムタイトルに人生の永続性への想いを見ることができる。

(3)「Lost Myself」

アルバムは自作曲のほか、ボブ・ディランのカヴァー(4)「The Man in Me」も収録している。

Eric Krasno プロフィール

エリック・クラズノーは1976年米国コネチカット州生まれ。高校時代、バークリー音楽大学の5週間のサマー・パフォーマンス・プログラムに参加し、将来のバンド仲間となるドラマーのアダム・ダイチ(Adam Deitch)、ギタリストのアダム・スミルノフ(Adam Smirnoff)、サクソフォニストのライアン・ゾイディス(Ryan Zoidis)、ベーシストのエリック・クームズ(Erick Coomes)らと出会っている。

1999年にオルガン奏者のニール・エヴァンス(Neal Evans)とドラマーのアラン・エヴァンス(Alan Evans)と共にソウライヴを結成、ジャムバンド・ブームを牽引した。
ギタリストとして参加したテデスキ・トラックス・バンド(Tedeschi Trucks Band)とデレク・トラックス・バンド(Derek Trucks Band)でそれぞれグラミー賞を獲得。ノラ・ジョーンズ(Norah Jones)、アーロン・ネヴィル(Aaron Neville)、50セント(50 Cent)、ロバート・ランドルフ(Robert Randolph)といった幅広い世代/ジャンルのミュージシャンと共演。さらにプロデューサーとしても多忙な日々を送っている。

Eric Krasno – guitar, keyboards, vocals
Otis McDonald – bass
Wil Blades – keyboards, organ
Curtis Kelly – drums
James VIII – guitar, vocals

Eric Krasno - Always
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