全身全霊でピアノに向かう、イーロ・ランタラのソロ・ライヴ『Potsdam』

Iiro Rantala - Potsdam

フィンランド最高のピアニストのソロピアノ最新作

フィンランドを代表するジャズピアニスト/作曲家のイーロ・ランタラ(Iiro Rantala)『Potsdam』。本作は2021年11月末にドイツ・ポツダムで行われたソロコンサートの実況録音盤である。オリジナル6曲に加え、ジョン・レノンの(6)「Woman」、レナード・バーンスタインの(8)「Candide Overture」、(9)「Somewhere」のカヴァーも収録。彼らしい個性的な演奏をたっぷりと聴かせてくれる。

(1)「Twentytwentyone」はこのパンデミックに喘いだ2年間を達観したような美しくも切ない楽曲で、圧倒的なテクニックと叙情性が同居する演奏はいきなり彼の真骨頂を迎える。まだ拍手の鳴り止まない中で始まる陽気なラグタイム(2)「Time for Rag」はこんなご時世でもユーモアを忘れないイーロ・ランタラらしい贈り物のようだし、続く(3)「Peace」の祈るようなピアノには優しさとともに強い意志も感じさせる。

イーロ・ランタラを代表する曲(5)「Freedom」はプリペアド・ピアノでの演奏。静と動の対比が極めて美しく、壮大なスケールの演奏に観客も固唾を呑んで聴き入っている。続くジョン・レノンの想いが宿ったかのような(6)「Woman」の演奏を終えた彼には、鳴り止まない拍手が送られる。

(5)「Freedom」の動画(本作収録のものとは異なる)

イーロ・ランタラは1970年フィンランド・ヘルシンキ生まれのピアニスト。ジャズ、クラシックを学び、1988年にピアノトリオ、トリオ・トウケアット(Trio Töykeät)を結成し2008年までの20年間で10枚ほどのアルバムをリリースし世界中で人気を博した。
その後はソロ活動や、ギタリストとヒューマンビートボクサーとの変則トリオなどユニークな活動を行なっており、現在は作品の多くをドイツのACTレーベルからリリースしている。

Iiro Rantala – piano

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