タンブレッロ奏者A.カストリニャーノ、バビロンをテーマにした新譜
イタリア南部の伝統音楽を復興させる活動を続ける作曲家/打楽器奏者/シンガーのアントニオ・カストリニャーノ(Antonio Castrignanò)。彼の新作『Babilonia』は、その名のとおりメソポタニア文明の中心にあった古代都市バビロンをテーマに据えた壮大な抒情詩だ。
サウンドは幾層にも重なったパーカッションの狂騒的なリズムが強靭な肉体となり、ギターやアコーディオン、フィドルなどが鎧となってそれを覆う。ロマやバルカン音楽、クレズマーにスーフィ音楽、果てはインドや北アフリカまでの広域な流れを汲んだ曲調は、伝統的な地中海周辺音楽に特徴的な熱気を風に乗せて香らせ、無機物にすら生命力を与えそうな勢いだ。
ゲスト陣では(4)「Nina」にはサレントのレゲエグループ、Sud Sound Systemのドン・リコ(Don Rico)、(6)「Si Picculina」にコラとヴォーカルで参加したガンビア出身のソナ・ジョバルテ(Sona Jobarteh)が参加。さらに少年期にチェロ1本を抱えアルバニア紛争からイタリアに逃げ延びチェロ奏者として大成したレディ・アサ(Redi Hasa)やトルコ随一のネイ奏者メルジャン・デデ(Mercan Dede)らも彩りを添えている。
Antonio Castrignanò プロフィール
アントニオ・カストリニャーノは1977年生まれ。サレント半島(イタリアをブーツに例えたとき、「かかと」の部分にあたる)の伝統音楽を研究し、2000年代初頭から数多くのミュージシャンと共演を重ね、南イタリアの伝統音楽“再発見”の象徴的アーティストとなった。
数々の受賞歴を誇り、近年では2021年のマーティン・スコセッシ監督によるNETFLIXシリーズ『都市を歩くように -フラン・レボウィッツの視点-』にも楽曲が提供されている。
Antonio Castrignanò – percussions, vocal
Sona Jobarteh – kora, vocal
Mercan Dede – ney, bendir
Badara Seck – vocal
Enzo Avitabile – vocal
Don Rico – rap
Rocco Nigro – accordion
Luigi Marra – violin, vocals
Giuseppe Longo – mandola
Maurizio Pellizzari – electric guitar, acoustic guitar
Giuseppe Spedicato – bass
Gianni Gelao – bouzouki, woodwinds, zampogna
Redi Hasa – cello