キューバのサックス奏者カルロス・アベルホフJr.、偉大な父へのトリビュート
ラテンジャズの中心的存在となっているキューバのサックス奏者、カルロス・アベルホフ・フニオール(Carlos Averhoff Jr.)が偉大な父に捧げた新譜『Together』をリリースした。
『Iresi』(2015年)のリリース翌年、カルロスJr. はかねてより切望していた父カルロス・アベルホフとの共演アルバム制作プロジェクトを米国マイアミで始動したが、そのプロジェクト進行中の同年12月に父が急逝。
プロジェクトは中断を余儀なくされたが、父の死から満4年を経た2020年12月、トリビュートプロジェクトとして再始動したものの結実が今作だ。父親が所属していたバンド、イラケレ(Irakere)のリーダーでありピアニストのチューチョ・バルデス(Chucho Valdes)はもちろん、オラシオ・エルナンデス(Horacio Hernandez)らラテンジャズ界隈のミュージシャンが多数参加し、豪勢なアルバムとなっている。
この作品では父との共同プロジェクトで録音されていた多くの録音がそのまま使われている。
アルバムのうち(1)「Sequence」、(3)「Together」、(4)「Oriented Conga」など6曲は父との共同制作プロジェクトで録音が進行していたもので、スタンダード・ナンバーである(8)「Donna Lee」は父カルロス・アベルホフとの貴重な親子共演であると同時に父の生前最後のレコーディング楽曲でもある。
サウンドは全体的にアフロ・キューバン・ジャズの熱狂的な音楽の動機を呼び覚ますが、同時に相当に洗練された印象も受け、完成度の高さが窺える。
Carlos Averhoff Jr. プロフィール
カルロス・アベルホフ・フニオールはキューバ・ハバナ出身。父親はイラケレのサックス奏者カルロス・アベルホフ(Carlos Averhoff, 1947 – 2016)。
音楽院でクラシックのレッスンを受け、渡米後はバークリー音楽院やニューイングランド音楽院でジェリー・バーゴンジ、ジョージ・ガゾーン、ダニー・マッキャスリンらに師事した。これまでにオマーラ・ポルトゥオンドやロベルト・フォンセカなどのキューバ勢から、ジミー・コブ、ルイス・ヘイズ、デイヴ・リーブマン、ジェイソン・モラン、そしてあの伝説的なブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブなど幅広く共演を重ね、現代のラテンジャズの第一人者としての評価を確立している。
Carlos Averhoff Jr. – tenor saxophone
Jim Gasior – piano
Nestor del Prado – bass
Reinier Guerra – drums
Guests :
Chucho Valdes – piano
Horacio “El Negro” Hernandez – drums
Nicky Orta – electric bass
Juan ‘Wickly’ Nogueras – congas
Maggie Marquez- voice
Federico Britos – violin
Nestor Torres – flute (2)
Orlando ‘Maraca’ Valle – flute (4)
Juan Munguia – trumpet, flugelhorn
German Velazco – alto saxophone (3)
Cesar Lopez – alto saxophone (7)
Ahmed Barroso – acoustic guitar
Richie Zellon – electric guitar