ジャズと現代音楽のアーティスティックな交叉点。萎えた社会に希望を与えるフランチェスカ・ガザ新譜

Francesca Gaza - Sfiorire

繊細かつ大胆なアンサンブル、ジャズと現代音楽の交叉点

ルーマニアにルーツを持ち、イタリア/ドイツ国籍、現在はスイスを拠点に活動するSSW、フランチェスカ・ガザ(Francesca Gaza)の3枚目のアルバム『Sfiorire』がリリースされた。
今作は2019年のデビュー作『Lilac for People』のコンセプトを発展させた内容で、アルバム名義も“Francesca Gaza & Lilac for People”となっている。

プロデューサーはイタリアを代表するトランペット奏者のパオロ・フレス(Paolo Fresu)。
クラシック、現代音楽、ジャズ、エレクトロ・ミュージックなど幅広い影響を受けた芸術性の高い音楽で、オクテット編成の繊細かつ時に大胆なアンサンブルも素晴らしい。

アルバムタイトルのイタリア語”Sfiorire”は直訳で「萎む」を意味する。ここにはあらゆる物事や言葉、人間同士のコミュニケーション、行動、自然などの衰退や全体性の喪失の克服をテーマにしており、芸術や生き方への前向きなメッセージが込められている。
表面的には全体的に聴きやすい作品だが、クラシック音楽のようにダイナミクスの概念が本質的に重視されており、リスナーを彼女の想像力の箱庭へと導いていく。親しみやすいポップさと芸術的な側面のバランス感覚が非常に優れているように感じる。

(2)「Being Tall」は、アーティスティックなMVにも注目!

Francesca Gaza 略歴

フランチェスカ・ガザは1995年生まれの女性シンガーソングライター。

フランチェスカが率いるオクテットのLilac for Peopleのファーストアルバム『Lilac for People』は2019年にリリースされ、Downbeat Magazine、All About Jazz、Musikansich、Billboardなどの批評家から好評を博し、 MIDJ(Italian Jazz Musicians Association)主宰の全国作曲コンクールで1位を獲得した。

2021年の2ndアルバム『Kugelförmigkeit』ではテオルボやヴィオラ・ダ・ガンバなどをフィーチュアし、中世的なフォーマットで時代性を超越した素晴らしい音楽を発表している。

(3)「Sfiorire」

Lilac for People :
Francesca Gaza – vocals, composition, arrangement
Jacopo Fagioli – trumpet, flügelhorn, tenor horn, trombone
Francesco Panconesi – tenor sax
Federico D’Angelo – baritone sax, bass clarinet, tuba
Lorenzo Pellegrini – guitar, vocals
Luca Sguera – piano, prophet, keyboards, electronics
Alessandro Mazzieri – electric bass, electronics
Mattia Galeotti – drums

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