ブラジル北東部、美しいビーチの街マセイオ生まれのアーティスト
先行して配信されていたシングル(2)「Quero Dizer」が密かに話題となっていたブラジル北東部アラゴアス州都マセイオ出身のSSW/マルチ奏者ブルーノ・ベルリ(Bruno Berle)が、待望のデビューアルバム『No Reino Dos Afetos』をリリースした。
スモーキーなローファイサウンドが何とも耳に心地よいサイケフォークで、ブラジルらしい豊かなハーモニー感覚を西アフリカのハイライフやコンテンポラリー・R&Bと見事に融合させ、リラックスした気怠さとともに出力した独特の香りを放つ一枚で、サウンドコラージュ的な手法も交え構築された細部までこだわり抜かれたサウンドにも度肝を抜かれる素晴らしい作品だ。
ブルーノ・ベルリはヴォーカルだけでなくギター、ベース、ピアノ、パーカッション、ドラムスなどほとんどの楽器を演奏。おそらくは断片的に録音されたそれらの素材が組み合わされた楽曲は夢見心地で桃源郷へと誘うよう。アルバムの共同プロデューサーは長年の友人でありコラボレイターであるbatata boyで、このサウンドはパンデミックの孤立の中で二人で古いレコードを聴くことに没頭し、アイディアと実験でいっぱいの宅録を重ねたプロセスの結果だという。
さんざん処理を重ねられたサウンドながら、なぜだか異様に生々しく、輪郭がぼやけるどころか逆にエッジが鋭く立って聴こえるのだから魔法のようでもある。
アルバムはUKの名門レーベル、FAR OUTから。ジャケットのポートレートはリオの人気SSW、アナ・フランゴ・エレトリコ(Ana Frango Eletrico)が撮影したもの。