超絶技巧のカーヌーン奏者レヴェント・エルマス、素晴らしくハイレベルなエスノ・フュージョン!

Dikdikas & Levent Elmas - Türbülans

Dikdikas & Levent Elmas『Türbülans』

もうめちゃくちゃカッコイイ音楽なんだけど、情報が少なすぎる…。トルコ出身のカーヌーン奏者/ヴォーカリスト/作曲のレヴェント・エルマス(Levent Elmas)の2021年作『Türbülans』。アルバムのタイトルはトルコ語で「乱気流」とのことだが、アーティスト名やバンド名、アルバム名さまざまな組み合わせで検索しても情報はほとんどヒットせず。Dikdikasというのはバンド名だろうか?よく分からない。YouTubeにいくつかオフィシャル・オーディオや動画が上がっているものの、詳細なディスクリプションはない。

とはいえ、Apple MusicやSpotifyでアルバムはちゃんと聴けるので、紹介していきたい。
ほんとに面白いアルバムですよ。

(1)「Türbülans」はもう出だしからゾクゾク来るようなかっこよさ。キメがビシバシ決まる系のタイトなジャズ・フュージョンのグルーヴに、超絶技巧のカーヌーンや木管楽器が中東音楽の魅惑的な旋律を奏でる。ベースはスラップを交えながらよく動き、細かく刻まれるアラブ・パーカッションに鍵盤は白玉……と、結構この手のサウンドが好きな方はハマるのではないだろうか(トルコって今も結構こういう感じのフュージョンが多い)。
中東開催のF-1グランプリのテーマ曲として、激しく推薦したいほどの名曲名演である。

(1)「Türbülans」

派手なブラスも交えてバルカンのロマ音楽とトルコ音楽、ジャズをさらにフュージョンさせたような(2)「Şehnaz Longa」は悲哀漂いつつも陽気で、ある種の人生への諦観と、楽しまなきゃ損的発想から来る妙な逞しさが複雑に入り乱れる曲調。これは原曲はトルコの作曲家サントゥーリー・エトヘム・エフェンディによる古い曲で、さまざまなアーティストによってカヴァーされている。

つづく(3)「Goziçay」はもう少し東に移動して、アラビック・フュージョン。相変わらず超絶カーヌーンに、ここではブラスやシンセソロも冴える。疲れを吹き飛ばしてくれる音楽の喜び。

(3)「Goziçay」

こんな調子でアルバムは続いていく。楽曲はバラエティに富んでおり、どれも刺激的だ。そもそも、ここ日本ではカーヌーンという楽器を聴いことがない人がほとんどかもしれない。

レヴェント・エルマスが弾くカーヌーン(アラビア語: قانون‎、ペルシア語: قانون‎、qānūn、トルコ語: kanun)は主にアラブ音楽で伝統的に使われる撥弦楽器で、日本の箏とも近縁なツィター属の楽器である。半音よりもさらに細かい音程(微分音)を出すためのマンダル(mandal)と呼ばれる特殊な金属のレバーやペグを左手で操作しながら、主に右手で弦を弾いて演奏する。
今作でもこのカーヌーンの微分音は作品全体を通して大きな特徴となっており、魅力の度合いを大幅に増している。

(5)「Fidayda」のMV。

願わくば、この作品の演奏者のクレジットをちゃんと知りたい。
特に随所で出てくる魅力的な演奏を聴かせるリード楽器──ターキッシュ・クラリネットかドゥドゥクか、あるいは他のリード楽器か──の奏者はかなり気になる。

情報があればお寄せください。

Dikdikas & Levent Elmas - Türbülans
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