アフロ・ブラジル文化への深い敬愛が表現されたイアラ・ヘンノ新作
アフロ・ブラジリアン文化を全身全霊で表現するブラジルのSSW、イアラ・ヘンノ(Iara Renno)の2022年新譜『Oríkì』がリリースされた。今作もトライバルかつスピリチュアルな力強さと、ブラジルの豊かな音楽的土壌やジャズの理論に基づく洗練されたハーモニー、そして最先端のサウンド・エンジニアリングが同居する素晴らしい作品に仕上がっている。
テーマはブラジルの土着宗教カンドンブレの神々であるオリシャ(Orixa)。この神秘的な文化は彼女の長年の最もたる関心のひとつであり、この作品に収められた最も最初の録音は2009年だというから、実に13年以上にわたるリサーチや創作の集大成である。
13曲中12曲が未発表の新曲で、(10)「Ave Leve」はヴィルジニア・ホドリゲス(Virginia Rodrigues)のアルバム『Cada Voz É uma Mulher』(2019年)に収録されていたもののセルフ・カヴァー。
コラボレーターも幅広く、(1)「Àgò mo júbà orí Ọkàn Oríkì」にシカゴのトランペット奏者ロブ・マズレク(Rob Mazurek)、(8)「Pedra de raio」にカルリーニョス・ブラウン(Carlinhos Brown)、(11)「Dentro da boca」にはルーカス・サンタナ(Lucas Santtana)などなど錚々たる顔ぶれが名を連ねる。
このプロジェクトのアイデアは、2009年にイアラ・ヘンノが建築家でビジュアルアーティストのシルヴァーナ・オリヴィエリ(Silvana Olivieri)とともに、サンパウロのアフロ・ブラジル博物館で『Oríkì in Corpore』と題したサウンドインスタレーションを制作した際に生まれたという。アルバムのいくつかの曲は『Oriki Orixá』の著者であり詩人のアントニオ・ヒゼリオ(Antonio Risério)が書き下ろした歌詞にイアラ・ヘンノが曲をつけたもの。
さらにイアラ・ヘンノは今回のテーマを補完する意味合いを持つ次回作のリリースを2023年に予定しているようだ。
アフロ・ブラジリアン文化の体現者、Iara Renno
イアラ・ヘンノは1977年にサンパウロで作曲家/ジャーナリストの父カルロス・ヘンノ(Carlos Rennó)とシンガーソングライターの母アルジーラ・エスピンドーラ(Alzira Espindola)のもとに生まれた。1994年から母親と一緒に演奏活動を始め、1998年からサンパウロ大学の芸術学部で学んでいる。
2008年に5年の制作期間を経て1stアルバム『Macunaíma Ópera Tupi』でデビュー。この作品にはトン・ゼー(Tom Zé)やシバ(Siba)、アヒーゴ・バルナベ(Arrigo Barnabé)といったブラジルを代表するアーティストも参加している。
これまでに作曲家、歌手、楽器奏者、音楽プロデューサー、パフォーマー、女優、詩人として様々な芸術活動を行い、特にアフロ・ブラジリアン文化の表現者として大きな足跡を残してきた。
Musicians :
Kiko Dinucci
Curumin
Maurício Badé
Lucas Martins
Simone Sou
Marcelo Jeneci
Guilherme Held
Guilherme Granado
Marcelo Monteiro
Ed Trombone
Daniel Gralha
Paulo Henrique
Alfredo Bello
Marcio Arantes
Simone Julian
Alysson Bruno
Special Guests :
Thalma de Freitas
Anelis Assumpção
Criolo
Carlinhos Brown
Curumin
Lucas Santtana
Tulipa Ruiz
Rob Mazurek
Choir :
Lucas Espíndola
Luz Marina
Clarice Espíndola
Dani Black