サーシャ・ベルニナー 待望の2ndアルバム『Onyx』
サンフランシスコ生まれのヴィブラフォン奏者/作曲家サーシャ・ベルニナー(Sasha Berliner) 『Onyx』は、ジェイムズ・フランシーズ(James Francies, p, key)、マーカス・ギルモア(Marcus Gilmore, ds)、バーニス・トラヴィス2世(Burniss Travis II, b)らNYの俊英たちを迎えた意欲的な作品だ。近年、優れた若手ヴィブラフォン奏者が次々と現れ煌びやかな音色でジャズの世界を飾り立てているが、彼女もまたそんな注目の音楽家のひとりである。
宝石“オニキス”は、強い意志や正しい判断を持ち、周囲からのネガティヴな影響から身を守ってくれる「自己防衛の石」とも呼ばれている。サーシャ・ベルリナーは伝統に固執せず、オリジナリティ溢れる構成で先進的な音楽を奏でる今作のイメージにぴったりだと感じ、それをアルバムのタイトルに採用した。好奇心と想像力に満ちたヴィブラフォンを、ヒップホップに影響を受けたマーカス・ギルモアのドラミングや自由闊達なジェイムズ・フランシーズのピアノらが盛り立てる。
彼女のオリジナル曲はすべて鋭く創意に満ちているが、そんな中でも二部構成になったスタンダード(5, 6)「My Funny Valentine」が目を引く。パートIはヴィブラフォンのソロで演奏され、お馴染みのメロディーが提示されるが、パートⅡではバンドがなだれ込み夢から醒めたようなシャープな演奏が繰り広げられる。
”ジャズ・ヴィブラフォンの未来“ Sasha Berliner 略歴
サーシャ・ベルニナーは1998年に米国サンフランシスコで生まれた。最初はロックバンドのドラマーとして音楽家のキャリアをスタートさせたが、オークランド・スクール・フォー・ジ・アーツのジャズプログラムで学んだことをきっかけにヴィブラフォン奏者になった。2016年にニューヨークに移りニュースクールに入学。ステフォン・ハリス(Stefon Harris)に師事し、2019年には初のリーダー作『Azalea』をリリースし、Rising Stars Jazz Awardを受賞。同じくステフォン・ハリスに学んだ2歳年上のジョエル・ロス(Joel Ross)らに並び“ジャズ・ヴィブラフォンの未来”とまで呼ばれるほどの存在感を放っている。
Sasha Berliner – viberaphone
Marcus Gilmore – drums
Burniss Travis II – double bass, electric bass
James Francies – piano, Fender Rhodes
Guests :
Jaleel Shaw – alto saxophone
Julius Rodriguez – analog synths
Thana Alexa – vocal