愛と寛容を通じて平和を歌う。ナイジェリアのハイライフ新世代、兄弟デュオ The Cavemen.

The Cavemen. - Love and Highlife

ハイライフ復興の新星、The Cavemen. の2ndアルバム

ベーシストのキングスリー・オコリエ(Kingsley Okorie)とドラマーのベンジャミン・ジェイムズ(Benjamin James)によるナイジェリアの兄弟デュオ、ケイヴメン(The Cavemen.)の2021年作 『Love and Highlife』は、近年再び若い世代に支持され注目されるようになったハイライフの復興の中心的な役割を担う優れた作品だ。

兄弟によるベース&ドラムスのタイトなグルーヴ、パーカッション、ギター、トランペットやサックス、キーボードといった基本的な編成から繰り出されるバンドサウンドと、兄弟二人がともに歌う力強くも儚さも感じさせる魅力的なヴォーカルは至高の心地よさで、バラエティに富んだ全18曲はどれも作り込まれており聴き応えも抜群。

(3)「Biri」にはフェラ・クティの孫、フェミ・クティの息子にあたるメイド・クティ(Made Kuti)がトランペットで参加している。

ゲストにトランペッターのメイド・クティ(Made Kuti)やエトゥク・ウボン(Etuk Ubong)、ナイジェリアの人気シンガーで現在はベトナム・ハノイに住むPC Lapez、国際的評価も高いSSWのコバムズ・アスクオ(Cobhams Asuquo)らが参加している。

愛や寛容を通じて平和に生きる哲学を歌う

The Cavemen. はナイジェリア南部のイモ州出身の兄弟デュオ。幼少期から両親が聴くハイライフに親しんで育った。
兄のキングスリー・オコリエは大学で法律を学んだが、弟のベンジャミン・ジェイムズは音楽学校を出ており2018年3月に正式にデュオを結成し活動を開始。2019年に16曲入りのアルバム『Roots』でデビューした。デュオ名のドットは、ニュージーランドの同名のアーティストからの訴訟回避のための策だという。

彼らは伝統的なハイライフに根ざしつつ、アフロビートやジャズ、現代的なポピュラー音楽も取り入れており、西アフリカの若い世代からも広く支持されている。これまでのハイライフ(オリバー・デ・コックとオシタ・オサデベなど)には少なからずナイジェリア南東部の裕福で、ときには腐敗した個人を称賛するニュアンスが含まれていたが、The Cavemen.の音楽はシンプルに愛や寛容を通じて平和に生きるという哲学についてが歌われており、お金やファッション、争いや虚栄心などを注意深く避けている。

(6)「Stranger」のライヴ動画。
The Cavemen. - Love and Highlife
最新情報をチェックしよう!