Allison Wheeler 『Winterspring』
米国カリフォルニア州出身で、現在はチェコ共和国で活動するSSW、アリソン・ウィーラー(Allison Wheeler)がデビュー作 『Winterspring』をリリースした。プラハの一流ミュージシャンを迎えた抒情的なジャズ・サウンドと、ポップスにも通じる素直で透明感のあるヴォーカルが魅力的な一枚だ。
地元の教会で歌いながら育ったというアリソン・ウィーラーは2015年に美術学校を中退し、北コロラド大学でジャズを学び始め、2018年にはダウンビート・マガジンにより“Undergraduate Jazz Vocalist of the Year”に選出。大学卒業後はチェコのプラハで教職に就く傍ら、ジャズバンドと歌い、4年間の構想・制作期間を経て本作を完成させた。
アルバムには自作曲とカヴァーが良いバランスで収録されている。レジーナ・スペクター(Regina Spektor)、ノーマ・ウィンストン(Norma Winstone)、フィオナ・アップル(Fiona Apple)といった歌手に影響を受けてきたという彼女の歌声は透明感があり、ポピュラーソングとの相性も抜群。アカペラで歌われるディズニー映画『シンデレラ』挿入歌(8)「A Dream is a Wish(夢はひそかに)」から、つづく映画『ロビンフッド』の(9)「Love」での歌唱は彼女のポピュラー・シンガーとしての魅力を最大限に引き出す。
もちろん、オリジナルも素晴らしい。アルバムの標題曲である(1)「Winterspring」などストーリー・テラーとしての彼女の器の大きさを証明する傑作で、表現力とも相まって今作を象徴するトラックとなっている。
アルバムは2022年7月に英国を拠点とするレーベル Ubuntu Music からリリースされた。
Allison Wheeler – vocals
Daniel Bulatkin – piano, Fender Rhodes, Prophet
Max Makagonov – double bass
Petr Nohavica – drums
Guests :
David Dorůžka – guitar
Luboš Soukup – soprano saxophone, tenor saxophone, clarinet
Strings :
Lucie Agopianová – violin
Šárka Ozgová – violin
Zuzana Kořenová – viola
Nozomi Sekine – cello