現代アルゼンチン・ジャズを代表するピアノ奏者エルナン・ハシント、待望の最新作

Hernán Jacinto - Hope

アルゼンチン・ジャズを代表するピアニスト、エルナン・ハシント

アルゼンチンを代表するピアニスト、エルナン・ハシント(Hernán Jacinto)の実に7年ぶりとなるリーダー作『Hope』。彼の作品としては3枚目で、スピネッタやスナーキー・パピー、ルベン・ラダ、メルセデス・ソーサにエルメート・パスコアールといった国内外のレジェンドたちと共演を重ねる彼らしく、瑞々しい感性と音楽的発想力に溢れた素晴らしい作品となっている。

今作は従来のメンバーであるアストル・ピアソラの孫でもあるドラマー、ダニエル・ピピ・ピアソラ(Daniel Pipi Piazzola)とベース奏者ヘロニモ・カルモナ(Jerónimo Carmona)とのトリオで録音が開始されたが、制作の途中で編成をフェルナンド・モレノ(Fernando Moreno, ds)、フラビオ・ロメロ(Flavio Romero, b)で組み直し、後者のトリオでの録音が多くを占める。

ビートルズのカヴァーである(4)「Here, There And Everywhere」は随所にビル・エヴァンスの風情を感じさせる完璧な名演で、作曲者ポール・マッカートニー曰く“ビートルズ最高傑作のひとつ”と自賛する原曲の美しさに加え、さらにジャズ・ピアノトリオという編成による即興の魔法を塗した傑作に仕上っている。

ほかに一押しはアルゼンチンのSSWフィト・パエス(Fito Páez)作曲の(6)「Ámbar Violeta」。
この曲はピピ・ピアソラらとの旧トリオでもライヴなどで披露されていたが、今作では新しいトリオで録音。抒情的かつスリリングなアレンジと高度な即興はエルナン・ハシントという現代アルゼンチン・ジャズ最高峰のピアニストの真骨頂だ。

ピピ・ピアソラらとの旧トリオによる(6)「Ámbar Violeta」。
アルバムに収録された新トリオとの演奏との聴き比べも楽しい。

(8)「Partir」ではアルゼンチン生まれでフランスで活躍するミニーノ・ガライ(Minino Garay Peruvian)と、インド系フランス人パーカッション奏者ステファン・エドゥアール(Stéphane Édouard)がゲスト参加。今作中でも異彩を放つ音源となっている。

Hernán Jacinto – piano, keyboards, percussion
Fernando Moreno – drums (1, 2, 3, 4, 6, 7, 8, 10)
Flavio Romero – double bass (1, 2, 3, 4, 6, 7, 8, 10)
Pipi Piazzola – drums (5, 9)
Jerónimo Carmona – double bass (5, 9)

Guests :
Ramiro Flores – alto saxophone, flute (2)
Minino Garay Peruvian – cajon, accessories (8)
Stéphane Édouard – percussion, voice, accessories (8)

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