驚異の素手ドラム!インド系打楽器奏者ステファン・エドゥアールの音楽がかなりヤバい

Stéphane Edouard - Pondicergy Airlines

インド系フランス人ドラマーのデビュー作『Pondicergy Airlines』

一聴してインパクト絶大なサウンドにやられてしまうが、彼が叩くドラムスの奏法を知ればその驚異的なプレイスタイルにも驚きを禁じ得ない。
フランスの打楽器奏者/作曲家ステファン・エドゥアール(Stéphane Edouard)のデビュー作である『Pondicergy Airlines』は、新しい音楽を知る悦びに満ちた途轍もないアルバムだった。

アルバムタイトルの「Pondicergy」とは、ステファン・エドゥアールの両親の出身地である南インドにある1954年までフランス領だった街ポンディシェリ(Pondicherry)と、その両親が1980年に定住したフランスの街セルジー(Cergy)を繋げた造語で、ステファンの音楽的・文化的なコアを示している。
彼は幼少期から両親が聴くボリウッドのヒット曲とインド古典音楽に影響を受けつつ、フランスの周りの子供たちと同様にロックやジャズ、ワールドミュージックからも多大な影響を受け、今作につながる独特の音楽観を育んでいった。

映像を観ればわかるが、ステファン・エドゥアールのドラムセットはスティックではなく素手で叩くことを前提としている。バスドラム代わりにセットされた巨大な瓢箪のような楽器とハイハットを同時に右手で叩きつつ、左手はスネアを叩く。それでいて普通にスティックで叩いているかのような強靭なリズムに驚かされるのだ。

まずは(1)「Pondicergy Airlines」から。ガタムやタブラといったインド音楽には欠かせないパーカッションに竹のフルート(バンスリ)がインドの風を運び、タイトなリズムのドラムスやベース、ギターが絡む典型的なワールド・フュージョンがリスナーを覚醒させる。

(1)「Pondicergy Airlines」
このMVはB級なCGが強烈な印象を残すが、実際の演奏の映像を収録したこちらの動画もすごい。

アルバムには“西遊記トリオ”でも活躍する兄であるタブラ奏者プラブー・エドゥアール(Prabhu Edouard)など総勢30名以上のミュージシャンが参加。それぞれが個性的で卓越したプレイを聴かせ、このアルバムをさらに面白い作品に仕立て上げる。

例えば、メタルの影響を少し受けながらも、それさえもインド音楽に飲み込んだ(4)「Full Metal」など各楽曲の色も多彩だ。

(5)「Bada Khana」は今作で最もカオスな曲かもしれない。どういう発想をすればこのような曲が生まれるのか全くもって意味不明な最高にクールな楽曲。

(7)「Oh My Ghosh」は兄のプラブーが師事した伝説的タブラ奏者パンディット・シャンカール・ゴーシュ(Pandit Shankar Ghosh, 1935 – 2016)に捧げられた曲で、ステファンのガタム(壺型の打楽器)と兄プラブーのタブラのイントロから圧巻の展開だ。インド出身のヴァリジャシュリー・ヴェヌゴパル(Varijashree Venugopal)の技巧的なヴォーカルも素晴らしい。

(7)「Oh My Ghosh」
映像ではステファン・エドゥアールが開発した素手で演奏するドラムセットの凄さを垣間見ることができる。

(2)「Sathya et sohane」のライヴ版。

Stéphane Edouard プロフィール

ステファン・エドゥアールの両親は共にアマチュアのミュージシャンで、ステファンは7歳から打楽器の演奏を始めた。彼の家は毎週末になると両親、叔父、叔母によって結成されたボリウッドのカバーバンドのリハーサルスペースに変わったという。ステファンもタンバリンとボンゴからバンドに加わったが、叔父の一人がリハーサルの最中にドラムを叩くことを提案し、そこから素手で叩くドラムスタイルが始まっていったようだ。
大学の頃にはレッド・ツェッペリンといったロックや、さらにジャズにも傾倒。この頃には素手ドラムキットも確立され、その独自のスタイルは広く彼の個性として知られるようになっていった。

音楽的な影響はジョン・マクラフリンらによる伝説のフュージョン・バンド、Shaktiやザヴィヌル・シンジケートのドラマー、パコ・セリー(Paco Sery)からに依るところも大きい。

兄パラブー・エドゥアールとともに渡ったインド・コルカタでは南インドのカルナータカ音楽や北インドのヒンドゥスターニー音楽を習得。

2020年、グエン・レ(Nguyên Lê, g)、マリク・メッツァドリ (Malik Mezzadri, fl)、シルヴァン・バロウ(Sylvain Barou, fl)、ミシェル・アリーボ(Michel Alibo, b)、リンレイ・マルト(Linley Marthe, b)、アンソニー・ジャンボン(Anthony Jambon, g)といった多くの才能を集め、今作『Pondicergy Airlines』をリリースした。

ステファンの兄プラブー・エドゥアールはフランスを代表するギタリストのグェン・レ、そして世界中のアーティストと共演する日本人箏奏者みやざきみえことの“Saiyuki Trio”のパーカッション奏者としても活躍している。

(11)「Appa」

Stéphane Edouard – drums, percussions, keyboard, ghatam, tabla, vocal
Prabhu Edouard – tabla, kanjira, vocal
Sylvain Barou – flute
Malik Mezzadri – flute
Samira Brahmia – lead vocal
Raphaëlle Brochet – lead vocal
Varijashree Venugopal – lead vocal
Julia Sarr – lead vocal
Thérèse Edouard – lead vocal
Bojan Zulfikarpasic – piano, Rhodes
Alfio Origlio – piano, Rhodes
Fred Soul – piano, Rhodes
Emmanuel Heyner – guitar
Nguyên Lê – guitar
Angel Demirev – guitar
Anthony Jambon – guitar
Dilshad Khan – sarangi
Michel Guay – sitar
Baiju Bhatt – violin
Ngô Hồng Quang – dan nhi, dan moi
Babui Saugata – sarrod
Sandip Chatterjee – santoor
Michel Alibo – bass
Linley Marthe – bass
Étienne Mbappe – bass
Hadrien Féraud – bass
Jérôme Regard – bass
Vincent Peirani – accordion
Jovan Pavlovic – accordion
Maciek Lasserre – brass
Julien Mercier – brass
Hamza Toure – brass
Benoit Giffard – brass

Stéphane Edouard - Pondicergy Airlines
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