フラメンコとジャズの架け橋となった木管奏者ホルヘ・パルド、集大成的な新譜『Trance Sketches』

Jorge Pardo - Trance Sketches

フルート/サックス奏者ホルヘ・パルド、超豪華布陣の新作

スペインのサックス/フルート奏者ホルヘ・パルド(Jorge Pardo)の2022年新譜『Trance Sketches』。ピアノにベテラン、ギル・ゴールドスタイン(Gil Goldstein)、ベースに鬼才マット・ギャリソン(Matt Garrison)、そしてドラムスにマーク・ジュリアナ(Mark Guiliana)という米国の現代ジャズ最高峰のメンバーを迎えたカルテットを軸に、さらに楽曲ごとに多彩なゲストを迎えた圧巻のコンテンポラリー・スパニッシュ・ジャズとなっている。

根底にあるバンドの演奏技術が最高であることはもちろんだが、バンドメンバー各人の楽器の音色の個性ある良さ、エレクトロニックを効果的に用いたサウンドのセンス、ゲスト参加するスペインの卓越したフラメンコ・ギタリストたち──リカルド・モレーノ(Rycardo Moreno)、メロン・ヒメネス(Melon Jimenez)、パコ・ソト(Paco Soto)──の貢献など、聴き流すには勿体無いほどの豪華な音楽が凝縮されている。収録の6曲はすべてホルヘ・パルド作曲で、後半3曲などすべて10分を超える大作だが、その楽曲構成力やアンサンブル力のためか、どこか異次元の音楽体験を与えてくれるようだ。

(1)「La Línea 1」

ホルヘ・パルドは1956年生まれ。アルバムを録音した当時の65歳という年齢は、多くの人間が引退を考える頃だ。
彼はその半生の集大成としてドキュメンタリー映画『Trance』を製作。ジャズとフラメンコの融合の歴史を紐解き、音楽史の発展にとって重要な記録を残した。

今作は彼の音楽家としての全てを集約したものであると同時に、終わりのない即興芸術の探求の道の最新地点を示したものとなっている。ありふれた音楽を超越したいという想いのもとに集った世界中の音楽家たちによる夢のような共演がここにはある。(4)「Otro Sueño」ではコロンビアのアルパ奏者エドマール・カスタネーダ(Edmar Castaneda)も迎えるなど、役者は充分だ。
この音楽の面白さ、痺れるほどの格好よさを、ぜひ多くの方に味わっていただきたい。

ホルヘ・パルドのドキュメンタリー『Trance』の予告編

Jorge Pardo プロフィール

ホルヘ・パルドは1956年スペイン・マドリード生まれの作曲家/木管楽器奏者。
若い頃はギターを演奏していたが、その後木管楽器の魅力に取り憑かれフルートやサックスを専門的に演奏するようになった。フラメンコ、ジャズ、そしてクラシックの交響曲まで幅広いジャンルで活躍するスペインを代表する木管奏者である。

1982年に初のアルバム『Jorge Pardo』をリリース。これまでにパコ・デ・ルシア(Paco de Lucia)やチック・コリア(Chick Corea)をはじめ、数えきれないほどの音楽家たちと共演を重ねている。

Jorge Pardo – tenor saxophone, flutes
Gil Goldstein – piano, keyboards
Matt Garrison – bass
Mark Giulliana – drums

Guests :
Rycardo Moreno – guitar
Melon Jimenez – guitar
Edmar Castaneda – harp
Guillermo Barron – cajon
Jesus Pardo – synthesizers
Bego Salazar – vocals
Ganavya Iyer Doraiswamy – vocals
Paco Soto – guitar

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