インドネシアのギタリストTohpati、ガットギターで描く至上の音楽
インドネシアを代表するギタリスト、トーパティ(Tohpati)の最新アコースティック・アルバム『True Love』。柔らかなガットギターを中心とした聴き心地の良いジャズで、リラックスしたいときや、作業に集中するためのBGMとしても重宝する作品だ。
エレクトリック・ギターやスティール弦のアコースティック・ギターも弾き、ジャンルもジャズ、フュージョン、ロック、メタル、インドネシアの伝統音楽、さらには他国の民族音楽など幅広いスタイルを特徴とする彼だが、今作ではナイロン弦ギターと室内楽アンサンブルによる落ち着いたサウンドでリスナーの心を溶かす。
まずは(1)「True Love」、(2)「Magical Journey」などフランスやスペインのエッセンスを感じさせる楽曲がとにかく秀逸だ。ギターや作曲面の完成度に対して、ストリングスや木管のアレンジが単にギターの音を補強するものにしかなっていないことは気にかかるし、このアレンジであればギターだけでも良かったのでは…とは正直思うが、なんとなくアルバムにゴージャスな印象を与えつつイージー・リスニングとして完成度を高める意図はありそう。
アルバムを通じて優しく聴きやすい曲が続く。
良い音楽を聴いて心を落ち着けたい場面で、ぜひこの作品を聴いてみてほしい。
インドネシアを代表するギタリスト
トーパティ(本名:Tohpati Ario Hutomo)は1971年ジャカルタ生まれ。インドネシアの伝統音楽を含む様々な音楽から影響を受けた独自のスタイルを確立しているが、特にパット・メセニーからの影響が強いという。
幼い頃からミュージシャンになることを志しており、14歳のときにジャカルタのバンドフェスティバルでベスト・ギタリストに選ばれ、その4年後の1989年にも国家主催のバンド・フェスティバルや「Yamaha Band Explosion」でも受賞し、若手の最注目株として一躍注目を浴びることとなった。
1993年からバンド「シマク・ダイアログ(Simak Dialog)」にギタリストとして参加し、3枚のアルバムをリリース。90年代後半からはソロとしてのキャリアを始め、デビュー作『Tohpati』(1998年)、2nd『Serampang Samba』(2002年)などのヒットで名実ともにインドネシアを代表するギタリストとなった。