パリ発、“最高の現代ジャズSSW”才媛ギャビ・アルトマン。プロデューサーはジェシー・ハリス

Gabi Hartmann

フランス・パリの才気溢れるジャズSSW、ギャビ・アルトマン

フランス出身の新星ジャズ系SSW、ギャビ・アルトマン(Gabi Hartmann)の初のフルレンス・アルバム『Gabi Hartmann』がリリースされた。プロデュースはデビューEP『Always Seem to Get Things Wrong』(2021年)に続き、ノラ・ジョーンズのブレイクの立役者であるジェシー・ハリス(Jesse Harris)が務め、オーセンティックでありながら古くない、さまざまなシーンで求められる現代のジャズを体現する。

収録曲の多くは彼女のオリジナル、あるいはジェシー・ハリスとの共作。英語とフランス語で歌われる自然体のヴォーカルや控えめなクリーントーンのギターのサウンドを中心に、落ち着きを感じさせるが退屈ではない絶妙のアレンジで聴かせる。彼女の歌と音楽は明かに“ジャズ”だが、ポルトガルのファドやブラジルのボサノヴァの影も見えるし、なんといっても実に“フランス的”なのだ。世界のどこでもない座標にあるようで、実は相当に“パリ”のど真ん中だったりする。そうした抽象的な表現が似合う点も含めて、素晴らしく文化的な音楽だ。

ジェシー・ハリスの楽曲(彼の2019年のアルバム『Songs Never Sung』収録曲)のカヴァーである(2)「People Tell Me」は哀愁のあるワルツ。ゲストとして米国を代表するギタリストのジュリアン・ラージ(Julian Lage)も参加している。

ジュリアン・ラージをフィーチュアした(2)「People Tell Me」

(6)「L’amour incompris / Azza Fi Hawak」にはフルート奏者のイギリスのフルート奏者、ガンディー・アダム(Ghandi Adam)が参加。(9) 「Maladie d’amour」は彼女の幼少時からのヒーローである歌手アンリ・サルヴァドール(Henri Salvador)のカヴァーだ。

Gabi Hartmann プロフィール

ギャビ・アルトマン(ガビ・ハートマン、ギャビ・ハルトマンといったカタカナ表記も散見される)はフランス・パリで幼少時からシャンソンやロックなどの音楽を愛聴して育った。

14歳まではクラシック・ピアノを演奏していたが、自ら楽曲を作るために兄の楽器を借りてギターを開始。 エイミー・ワインハウスに興味を持ち、さらにエラ・フィッツジェラルド、フランク・シナトラ、ナット・キング・コールのカヴァーを発見した後、原曲を遡る形でジャズにはまっていったという。パリの音楽学校スコラ・カントルムなどで学び、ブラジルのリオデジャネイロで2年間を過ごし、南アフリカやギニア、ポルトガルを旅し、ロンドンでは民族音楽学を1年間学び、そしてパリに戻ってそれらの経験を統合し自らのプロジェクトに取り掛かった。

ジェシー・ハリスが彼女のプロデューサーになることを申し出たという。ギャビ・アルトマンはそれを、自分が持っている全てをまとめるための招待状だと受け止め、この素晴らしいコラボレーション・プロジェクトが始動した。楽曲制作は主にニューヨークとパリの間でオンラインを通じて行われた。アルバムの準備中、彼女はジェイミー・カラムやメロディー・ガルドーの前座を務め、パリの老舗ジャズクラブであるデュク・デ・ロンバール(Duc des Lombards)に定期的に出演した。

Gabi Hartmann
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