キゾンバのディーヴァ、ヨラ・セメード 7枚目のアルバム
アンゴラの歌手、ヨラ・セメード(Yola Semedo)の7枚目となる新作『Sou Kizombeira』がリリースされている。
今作はアンゴラ生まれのダンス音楽であるキゾンバをベースとしたダンサブルでパンチの効いたサウンドが特長的で、レゲエやソウル、R&Bといった要素も感じさせ、アンゴラの歌姫の貫禄を感じさせるアルバムに仕上がっている。
グルーヴィーなリズム隊にギターのカッティング、ブラス隊とシンセの強烈なカウンターメロディ、洗練された女声コーラスなどは古典的な手法だが安定の耳馴染み。アンゴラの公用語であるポルトガル語の響きも美しく、ロマンティックを極めたような音楽は世界に広く訴求できるクオリティだ。
私は大傑作と言える2014年作『Filho Meu』で彼女の音楽の大ファンになった──。
さすがに当時ほどのインパクトはないものの、ヨラ・セメードという歌手がアンゴラで“ディーヴァ”と呼ばれていることを肌で感じるには充分すぎるアルバムだ。
扇情的なキゾンバのダンス自体はアンゴラを離れ欧州などでも人気となっているが、“すべてのキゾンベイラへ”と捧げられた今作は、そのルーツの衝動を実感できることは間違いないだろう。
Yola Semedo 略歴
ヨラ・セメードは1978年にアンゴラのベンゲラ州ロビトに生まれ、現在は同国首都のルアンダを拠点に活動を行っている。
彼女のキャリアは、1984年に兄弟によって結成された音楽グループ「Impactus 4」で始まった。彼女は次第にグループの中でメイン・ヴォーカリストとなっていき、1985年にはユネスコ国際フェスティバルに参加。さらに1986年にはポルトガルのフィゲイラ・ダ・フォズ・フェスティバルにリード・シンガーとして参加した。1990年に家族とともにナミビアに移住、2005年までそこで過ごしている。
1995年にアフリカのゴールデン・ヴォイス賞を受賞。2007年にはディーヴァ・ダ・ムジカ、およびディーヴァ・オブ・ザ・モーメントとして表彰された。