万華鏡のようなサウンドに魅了される、フランス発ジャズ・ヴァイオリン新星のデビュー作!

Alba Obert - Kaleidoscope

フランスのヴァイオリン奏者アルバ・オベール『Kaleidoscope』

ステファン・グラッペリやディディエ・ロックウッドといった史上最高峰のジャズ・ヴァイオリニストを輩出したフランスから、新たな若いヴァイオリンの才能が現れた。名はアルバ・オベール(Alba Obert)。彼女のデビュー作『Kaleidoscope』には、クラシックからマヌーシュ・スウィング、バルカン音楽、ジャズロックなど幅広いスタイルでヴァイオリンを弾き、ついでに歌手としての才覚も備えたこの新星の稀有な魅力が詰まっている。

バンドのドラムス奏者レオ・トション(Léo Tochon)作の(9)「Les Naines Bleues」を除き、すべてアルバ・オベールの作曲。ヴァイオリン、ピアノ、ベース、ドラムスのカルテットを基本とし、2曲でギタリストのマルティン・フェレイロス(Martin Ferreyros)が参加している。

アルバ・オベールはエレクトリック・ヴァイオリンを多用しており、そのサウンドはジャズロックやフュージョンに近い。ただしドラムスやピアノはクセのないアコースティックな音色で、過剰な“重さ”がないのが嬉しいところ。アルバムはインスト曲が多いが(2)「Les Roses」はアルバ・オベールのソングライター/ヴォーカリストとしての魅力が存分に発揮されており、その表現力に驚くばかりだ。

(2)「Les Roses」

彼女の音楽的な影響源はビューク(Björk)、レディオヘッド(Radiohead)、レオ・フェレ(Léo Ferré)、そしてジプシーやバルカン音楽、ロック、パンク、クラシックと多岐に渡る。その傾向は折衷的なこのアルバムによく表れており、収録曲はそれぞれ異なるインスピレーションが強く感じられる。
中でも特徴的で耳に残る(8)「Shakti Spirit」はタイトル通り、インドのカルナティック音楽とジャズの魅惑のフュージョンだ。

(1)「Alpha Cloud」

多方面にエネルギーを拡散する様相はまさにカレイドスコープ(万華鏡)。
フランスのジャズ・ヴァイオリンの伝統を受け継ぎつつ、新しい世代の感性を注ぎ込んだ注目すべき作品だ。

Alba Obert – violon, vocal
Nicolas Fleury – bass
Léo Tochon – drums
Gaspard Berton – piano, keyboards
Martin Ferreyros – guitar (2, 5)

Alba Obert - Kaleidoscope
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