ラトビア出身のギタリスト、Ella Zirina 圧倒的才能で魅せるデビュー
1997年ラトビア生まれ、現在はオランダ・アムステルダムを拠点とするギタリスト、エラ・ジリナ(Ella Zirina)は新世代のジャズ・ギター・ヒロインとなるであろう逸材だ。オーセンティックなスタイルを軸としながら、卓越した技巧も、繊細なダイナミクスの表現力も、様々な引き出しを持った即興のアイディアも素晴らしく、デビューアルバム『Intertwined』でその技を惜しげもなく披露している。
彼女は17歳までピアノを学んだ後、ジミ・ヘンドリックス(Jimi Hendrix)の演奏に衝撃を受けてギターに転向。アレクサンドル・スクリャービン(Alexander Scriabin)からジョニ・ミッチェル(Joni Mitchell)、レッド・ツェッペリン(Led Zeppelin)からビル・エヴァンス(Bill Evans)、ジム・ホール(Jim Hall)、ウェス・モンゴメリー(Wes Montgomery)まで幅広い音楽を吸収し自身の骨肉としてきた。
決意を持ってラトビアを離れ、アムステルダム音楽院でジェシ・ヴァン・ルーラー(Jesse Van Ruller)らに師事しジャズの学士号を取得。さまざまなミュージシャンとの共演で経験を積み、2021年からはアムステルダムの人材育成プロジェクト「BIMHUIS」のなかで今回のデビューアルバムの制作を進めてきたという。
アルバムのほとんどはエラ・ジリナの作曲によるもの。(9)「I Loves You Porgy」以降の3曲がジャズ・スタンダードのカヴァーだ。ギタートリオでの編成を軸に、一部の楽曲では弦楽四重奏やティネカ・ポスマ(Tineke Postma)によるサックスも加わる。
エラ・ジリナのギブソンのギターの音色は温かな厚みがあり、豊かなサステインがあり、それだけでうっとりするほど心地よいが、その佇まいも含めギターという楽器の魅力を最大限に引き出す演奏は抗いようがないほどに魅力的だ。
2021年には第6回バーチャル・ジャズクラブ・コンペティションで最優秀賞を受賞したというエラ・ジリナ。(7)「Learn, Know, See」では可憐なヴォーカルも披露する。
本物の芸術性を備えた新たなギター・ヒロインの登場はシーンを活性化させるだろう。
Ella Zirina – composition, guitar, vocals
Tineke Postma – saxophone
Noah Hassler-Forest – violin
Wouter Torringa – violin
Ida Weidner – viola
Joshua Herwig – cello
David Macchione – double bass
Eloi Pascual Nogue – drums